EVスタートアップCanooがオクラホマの工場で量産準備を進める

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、数百名の従業員を雇用し、生産開始に向けての準備を進めているが、バッテリーサプライヤーの決定などの重要なマイルストーンが残っていることが、第2四半期の業績報告書で明らかになった。

Canooは業績報告に数週間先立って、初めてIRイベントを開催し、オランダの VDL Nedcar(VDLネドカー)をライフスタイルビークルの製造委託先として発表していた。この発表の際には、CanooはVDL Nedcarの施設で、2022年には欧米市場向けに最大1000台を生産し、2023年には1万5000台を目標にするという見積もりを出していたが、米国時間8月16日の業績報告会では、CEOのTony Aquila (トニー・アクイラ)氏が、現在は2023年に2万5000台の生産を見込んでいると述べた。

またCanooは、ピックアップトラックと多目的配送車の生産のために、同社が「メガ・マイクロファクトリー」と呼ぶ工場を、米国に工場を建設する計画の最新情報についても説明した。6月に同社は、オクラホマ州に最初の工場を建設する計画を発表していた。オクラホマ州は、この施設と生産の第2段階を支援するために、3億ドル(約327億6000万円)分の非希釈性の投資を約束している。

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「この2つの目立った戦略が重要なのは、いくつかの理由があります」とアクイラ氏は業績報告会で述べた。「新しいOEMのNedcarと協力することで、生産プロセスを洗練させることができます。またオクラホマ州の製造工場に展開される生産の専門性を強化すると同時に、製造業務を地理的に多様化し、変化する市場の需要に適応するために、コミットメント、製品、数量を増やし、販売における柔軟性を作り上げることができるようになります」。

アクイラ氏によると、オクラホマ州からの投資額の約3分の1が最初の36カ月間で利用可能になるという。これらの資金は、Canooがローンチに向けて準備を整えることを意味する「ガンマ」フェーズに移行する際の会社の進捗を支えることになる。前年比で、Canooの従業員は230人から656人に増え、そのうちの70%がハードウェアとソフトウェアのエンジニアだ。スタートアップの運営費は、前年同期比で1980万ドル(約21億6000万円)から1億430万ドル(約113億9000万円)に増えているが、その増加分の大半は研究開発費によるものだ。

収益計上前の費用が増加していることは、Canooが生産目標に向けて邁進していることを示しているが、オクラホマ工場の建設を開始するまでには、まだ課題が残っている。アクイラ氏によると、現在Canooは建築マネージャー、設計家、建築会社の最終選定を行っており、来四半期までには工事の進捗状況を詳しく報告する予定だという。

また同社は、第3四半期中にバッテリーのパートナーを最終決定することを目指しているが、これは、多くの既存メーカーがバッテリー合弁会社を設立してサプライチェーンをコントロールしようとする中で、ますます重要になってきている動きだ。そしてCanooもまた、他の業界同様、半導体のサプライチェーン問題に悩まされているが、製造プロセスの合理化により、より少ないチップで自動車を機能させることができるとしている。

IRイベント当日、Canooは50万マイル(約80万5000km)のベータテストを終えたことを発表した。6月30日の時点で、アクイラ氏は「ガンマ」ビルドを開始するためのエンジニアリングとデザインを決定したと語った。

「また、第1四半期は74%だった部品の調達率は87%となっていて、バルク材を除くと95%の調達が完了しています」とアクイラ氏は述べている。「当社のCTOとそのチームは、ライフスタイル・ビークルの部品の67%についてエンジニアリングデザインを完了し、それらの製造準備に移行しました」。

アクイラ氏によると、Canooは第4四半期中にライフスタイル・ビークルの標準生産プロセスへのカウントダウンを開始するという。おそらくライフスタイル・ビークルの生産は近付いているものだと思われるが、アクイラ氏によると、返金可能な9500件の予約のうち、最も人気があるのは、Canooの他の2つの車であるピックアップトラックと多目的配送車だという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo電気自動車オクラホマ工場トラック

画像クレジット:Canoo

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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