Facebookは、ユーザーがビデオを見続けて通信データ枠を使い果たしてほしくないと考えている。同社のテストしているInstant Videosという機能は、Wi-Fiが使えるときにFacebookビデオをダウンロードしておき、後で見ることができる仕組みだ。プレロードされたビデオには稲妻アイコンが表示される。
Instant Videosは、Instant Articlesを思い出させる機能だ。Instant ArticlesはFacebookの定めた形式のコンテンツを速く読み込むことで、ユーザーが外部記事の表示を待たずに済むシステムだ。ビデオの読み込みはウェブページ以上に遅いため、自分のビデオを見て欲しいと思うパブリッシャーには魅力だ。
この機能は、Facebookに新たに加わったオリジナルビデオコンテンツ用のWatchタブにとっても有益だ。キャッシュされたコンテンツを出先でもデータプランを気にせずにみることができる。
FacebookはInstant Videosのテストはごく限られた割合のAndroidユーザーを対象に行っていると本誌に話した。Instant Videosを最初に報告したのは “Devesh Logendra” と名乗る人物で、TNWのソーシャルメディア担当ディレクター、Matt Navarraに匿名でスクリーンショットを送ってきた。本誌はFacebookに連絡をとり、この機能の目的はFacebookのビデオを見るための通信料金という障壁をなくすことだと正式に確認した。
これまでFacebookは、帯域幅や通信料金の異なるユーザーのために、ファイルサイズの小さいコンテンツを優先してニュースフィードに流したり、すでに見たコンテンツを再掲するなどの方法をとってきた。
Instant Articlesの主な狙いがFacebookでニュースを読む際のスピードと利便性であったのに対して、Instant Videosはコストとアクセスしやすさに重点を置いている。これは途上国での利用を開拓しているFacebookにとって重要な機能になるだろう。データ料金が平均収入とくらべて著しく高く、通信も途絶えがちの地域ではビデオの閲覧はストレスのたまる体験だ。
しかし、もしFacebookが今日だけでなく明日のソーシャルネットワークになりたいのなら、ビデオをもっと前面に押し出す必要がある。ビデオはテキストや写真以上に魅力的なエンターテイメントや個人間のつながりをつくる。モバイルビデオの利用は急増しており、eMarketerが報じたNewsWhipの調査結果によると、Instagramで配信されたニュースビデオの視聴は前年比53%も伸びている。
ビデオは、ブランドが制作に慣れているテレビCMに近い広告を利用できるため、実入りのいいメディアでもある。通常のビデオを見ることに慣れたユーザーは、ビデオ広告を受け入れやすい。さらにFacebookは、ビデオの途中に広告を入れ、収益の55%をクリエイターに分配するシステムも開始している。Instant VideosにもこうしたCMが挿入される可能性がある。
Instant VideosのテストをAndroidで行うことで、FacebookはiPhoneが稀な途上国と、予算に敏感な若者の両方を取り込の基盤を作ろうとしている。技術を駆使し将来を見越したアクセス拡大への取り組みと普及の高さを利用して、FacebookはYouTube、Snapchat、Twitterを始めとするビデオのライバルとの戦いを優位に進めようとしている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )