Facebookは、オンライン求人市場における自社の野望を隠すつもりはないようだ。同社は、SNSを使った求職活動の促進において業界を支配するLinkedInの牙城に迫る。今日(米国時間9/28)、Facebookはその過程における次の一歩を踏み出した。
今日、FacebookはZipRecruiterと機能連携する。ZipRecruiterは、従来の求人掲示板や、 LinkedIn、Google、Twitterなどのウェブサイトに、企業の求人広告を掲載するアグリゲーションサイトだ。Facebookの目的は、自社の20億人の月間アクティブユーザーをターゲットに、Facebook上の求人広告の数を増やすためだ。
Facebookは今年初めに求人広告の取り扱いを開始し、その後にメンターを探す人と指導する人を繋ぐプラットフォームなどといった、キャリアに焦点を当てた機能を増やすことに関心を示していた。
今回の展開もその方向性と一致している。今まで、Facebookを人材募集に使いたい企業は、Facebookから直接、自社のFacebookページに求人広告を掲載する必要があった。
FacebookがZipRecruiterなどと提携したことで、人材を募集する企業は、今やチェックボックスにレ点を入れるだけで、Facebookや様々な求人掲示板に求人広告を掲載できるようになる。ZipRecruiterなどのアグリゲーションサイトは、このような求人掲示板をまとめており、例として、ZipRecruiterは何百もの求人掲示板を網羅している。
Facebookの求人広告プロジェクトマネージャーGaurav Dosiは、今朝の人材業界のカンファレンスで、この新しい機能連携について発表を行う予定だ。
Facebookのこの動きは興味深い。なぜならこれは、Facebookが求人広告機能のさらなる量と利用方法を求めているだけでなく、自社の力だけでは目的を達成できない可能性があると理解したことを示している。結果としてより対立を生まない、ユーザーフレンドリーな姿勢に至った。
「アメリカの中小企業の40%は、予想以上に人材採用が難しいと答えています。これら中小企業がアメリカ国内の半分近くの労働者を雇用していることを考慮すると、厳しい問題です」とFacebookがTechCrunchに送った声明の中でDosiは語った。「Facebookの目標は、地元の仕事を見つける時や、適切な人材を雇用する時の手間を省くことです。ZipRecruiterとの提携は、このような人々や企業のため、その一連の作業をさらに簡単にする方法の一つです」。
Facebookはこの提携の詳細についてはコメントを控えた。しかし、TechCrunchが理解しているところでは、ZipRecruiterが主な提携先であるものの、独占契約ではなく、Facebookは他の企業とも協力しているようだ。
また、この取引は人材業界全体がいかに細分化されているかを浮き彫りにしている。
「アメリカには4万以上の求人サイトがあり、歴史ある優良企業も気を引くために求人欄で競い合っています」とZipRecruiterの共同創設者兼CEO Ian Siegelは語る。「そのため、Facebookが参入して、1つの求人サイトになるとは言っても…やり方は1つだけではありません」。
しかし、うまくやってのければ、Facebookにとって大きなチャンスになるとSiegelは付け加えた。
SNSは、求人広告において一般的に非常に大きな成果をもたらす。理由の一つは、従業員の人脈を活用することができ、その繋がりから応募する人は一貫した関心を持つ傾向にあるからだ。「SNSは質の高い候補者を送り込んでくれます」とSiegelは言う。「現在の従業員の人脈から来た人たちの質は、保証することが可能です」。また、求人情報におけるノイズが少ない。「その人たちとは、仕事だけではなく、幅広い話題を通して交流しているので、非常に自然な繋がりだと感じます」。
さらにSiegelは、ZipRecruiterを介して広告を出稿する企業の多くはFacebookとの機能連携を求めていたと話す。SiegelとFacebookはどちらも、どちらがこの機能連携を持ちかけたかについてはコメントを控えた。
ZipRecruiterは2014年、1回だけ資金調達を実施している。調達額は6300万ドルだった。今後さらなる資金調達を予定しているかに関しては、Siegelはコメントしなかった。