Facebookは、クリエーター向けの3Dバーチャルリアリティ彫刻ツール「Oculus Medium」をAdobe(アドビ)に売却した。Facebook傘下のOculusは、このチームに多大なエネルギーを注ぎ込んできた。それを売却することは、Facebookが社内でのVRプロジェクトの取り組み対し、広範囲に再考中であることを意味している。
Oculusは、長年にわたって非常に多くの資金をMediumにつぎ込んできたことは明らかだ。今回の売却は、Oculus Mediumチームにとって、歓迎すべきことではないだろう。このかなりニッチなソフトウェアに対する買収額が、その投資に見合った金額だったとしても。契約の条件は明らかにされていないので、Adobeがどのような取引を成立させたのかは不明だ。
幸いなのは、FacebookがあえてMediumをうまくスピンアウトさせる方策を取ったこと。以前FacebookがOculus Story Studioを廃棄した際には、同社は従業員をひそかに解雇していた。Mediumは小さなコミュニティで好まれている。Adobeが、これを自ら同社の他の製品と統合することは、かなり理にかなっている。間違いなく、より良いソフトウェアになるはずだ。今後もMediumが生き続けることが分かって、ほっとしている。
「Beat Saber」のメーカー、Beat Gamesの買収後にMediumを売却したのは、現時点でOculusのVRコンテンツ戦略を要約するような動きだ。つまり、ゲーム以外のクリエイティブツールには新たな投資は行わず、映画レベルのVRコンテンツの優先順位は低く、Facebookはタイトル数を増やすためにもっと多くのゲームスタジオを買収する準備をしているということ。長年にわたって、遠い未来のことだけを語ってきた部門にとって、これはおそらく実際のハードウェア上での見栄えを重視するという、現実的な戦略なのだ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)