Adobe SparkがSNS投稿ツールに魅力的なアニメーションのサポートを追加

Adobe SparkはアドビのCreative Suiteの中でも、あまり注目されていない製品の1つだ。しかし、同社の無料で試せるソーシャルメディア投稿作成ツールには多くのファンがいる。Adobe Sparkの使命が、中小企業のオーナーや代理店がデザインの勉強をしなくても魅力的な投稿を作成できるようにすることであると考えれば、それも不思議ではないかもしれない。米国時間9月3日、アドビはモバイルとウェブで最も要望の多かった機能の1つであるアニメーション機能をSparkに追加した。

SparkのプロダクトマネージャーであるLisa Boghosian(リサ・ボゴシアン)氏は、「アドビには、After Effectsの豊富な歴史があります」と語る。「プロではない人にもプロのモーションデザインを提供したかったのです。個人や中小企業のオーナーがキーフレームやプリコンプや5つのレイヤーの作り方を時間をかけて覚える必要はないのです。Sparkはまさに彼らのためのもので、自分たちにビジネスに集中しながら、モーションデザインを表現することを手助けします」 と続ける。

テキストの流れをデザインしたり、画像を追加したり、アニメーションを追加したりと、Sparkはユーザーを誘導する機能を備えている。アニメーションを含む膨大な数のテンプレートを提供しており、無料の画像、Adobe Stock、Noun Projectのアイコンなどに簡単にアクセスできる。

開発チームはまた、タイムラインなどのムービーエディタの機能の多くを省くことにした。その代わり、テンプレートと新しいデザインによってどのようにアニメーションを表示させるかという背後のロジック構築に力を入れた。「ユーザーにタイムラインを見せて、タイムライン上に物を置いてもらい、スピードを調整したり、推測したりするのではなく、我々がその役割を引き受けたのはユーザーを最高の体験へと導きたいからです」と同氏。

新しいアニメーション機能に加えて、SparkはCreative Cloud Librariesをサポートすることで、Creative Cloud Suite全体でアセットを共有するためのツールも改善された。これにより、LightroomやPhotoshopからSparkに画像を移行するのが格段に簡単になった。Sparkは広告代理店などに人気が出てきているので、コラボレーションもより簡単になるだろう。このサービスにはすでにアセットを整理するためのツールが用意されているが、Creative Cloud LibrariesのサポートによりCreative Cloudのさまざまなツールを横断して作業することがはるかに容易になる。

同氏は「チームは以前からアニメーションをロードマップに入れていましたが、市場に投入するまでに時間がかかりました。その理由の1つには、アドビが適切なパフォーマンスを求めていたことが挙げられます」と説明した。「私たちが提供したいものと同等のパフォーマンスを確保しなければなりませんでした。プロジェクトをエクスポートする際にユーザーを待たせたくなかったので、かなりの時間がかかることは避けたかったのです。そのため、私たちが求めていたユーザー体験を実現するために、バックエンドを立ち上げなければなりませんでした」と続ける。同氏はまた、「アニメーションを起動する前にCreative Cloud Librariesの統合を準備しておきたかった」とも述べている。

アニメーションを作成すると、SparkではMP4ビデオファイルや静止画像として書き出せる。SparkをGIFアニメとしてダウンロードすることはできない。

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

AdobeがAIでブログの見出しや画像を読者に合わせてカスタマイズするツールをテスト中

Adobe(アドビ)のチームが、人工知能を使ってブログを読者ごとにカスタマイズする仕組みを開発した。

このツールはAdobe Sneaks(アドビ・スニークス)の一環として作られた。これは社員が自分の新しいアイデアを見せるデモを作れるプログラムで、その後Adobe Summit(2020年はバーチャルに)で紹介される。作品(Sneak)はデモとしてスタートするが、 Adobe Experience Cloud(アドビ・エクスペリエンス・クラウド)のシニアディレクターであるSteve Hammond(スティーブ・ハモンド)氏は、参加作品の60%が正式な商品になるとと私に語った。

Adobe Experience CloudのシニアプロダクトマネジャーであるHyman Chung(ハイマン・チョン)氏は、このSneakはコンテンツクリエイター やコンテンツマーケターのために作られたもので、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでトラフィックが増え(Adobeによると、4月に同社のブログは前月比30%増のアクセスがあった)、手間をかけずに読者をつなぎとめる方法を探している人たちを対象にしている。

デモンストレーションでは、Experience Cloudが単純なABテストやパーソナル化に加え、同社のAIテクノロジーであるAdobe Sensei(アドビ・センセイ)を使って、読者ごとに異なる見出しや画像(利用者のメディアライブラリーまたはAdobe Stockを利用可能)、宣伝プレビューなどを表示するところが披露された。

画像クレジット:Adobe

例えば、チョン氏は私に旅行会社のデモブログを見せ、オーストラリア旅行に関する1つの投稿が、スリルを求める人や質素な旅行者、パーティー好きなどの読者に応じて異なった表示になるところを紹介した。読者セグメントごとに人間のライターが編集することが可能なだけでなく、Snippet Quality Scoreを確認してSenseiが推薦した背景の詳細を調べることもできる。

ハモンド氏は、このデモはAdobeのAIに対する一般的な取り組みを表しているといい、広いプラットフォームを作るよりも、特定の利用場面を自動化することに注力していると語った。さらに、AIはコンテンツそのものを変更するのではなく、コンテンツがメインサイトで宣伝される方法を変えているだけだと付け加えた。

「このツールは作成者の創造性を生かし、コンテンツと結びつける」と同氏はいう。「コンテンツそのものを変えることなく、異なる読者向けにコンテンツを適応させることができる」。

プライバシー面についてハモンド氏は、利用する個人属性は主として訪問者が自らブランドやウェブサイトに渡した情報に基づいていると語った。

関連記事:CIO Cynthia Stoddard explains Adobe’s journey from boxes to the cloud(未訳記事)

画像クレジット:Lisa Werner / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アドビがクリエーター向け1億円ファンド創設、新型コロナ禍で創作活動が制限されているクリエイターを支援

米アドビ システムズ社の日本法人であるアドビ システムズは5月26日、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で厳しい状況に置かれたクリエイターの創作活動を支援するためのファンドを創設した。「Creative Residency Community Fund」と名付けられた約1億円(100万ドル)のファンドで、グローバルでクリエイターからのプログラムへの参加募集を開始する。

プログラムは2020年5月から12カ月間実施され、候補者は毎月新しいクリエイティブプロジェクトを進めていく。国内からの申請は専用サイトから受付を開始している。申請は3カ月ごとに締め切り、選考期間を経て随時結果を候補者に連絡するという流れになる。

参加資格などの詳細は以下のとおり。

申請資格
・日本プロジェクトへの申請:日本語でのコミュニケーション
・グローバルプロジェクトへの申請:英語でのコミュニケーション
・18歳以上(学歴不問)
・ビジュアル制作が可能なクリエイター

クリエイティブ分野
・ビデオ
・写真 / フォトアート
・グラフィックデザイン
・イラスト
・3D
・モーションデザイン
・プロダクト / インターフェイスデザイン (UI/UX)

スケジュール

米国の4月のeコマース売上高は新型コロナ禍の需要で49%増、パジャマは143%増

オンライン小売業者は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響でブラックフライデーのような売上を目の当たりにしている。Adobe(アドビ)のDigital Economy Index(デジタル経済インデックス)の新たなデータによると、米国のeコマースは、ベースとなっている外出禁止令が出る前の3月上旬に比べて4月は49%増えた。オンライングローサリーが売上増に貢献し、3月から4月にかけて日々の売上は110%増だった。一方、エレクトロニクス製品の売上は58%増、書籍の売上は倍になった。

アドビのDigital Economy Indexを参考にしているこのデータは、1億ものSKUにまたがる1超件あまりのオンライン決済を分析したものだ。データを収集するのに米国のトップ小売100社のうち80社の協力を得ている。

こうした数字は、新型コロナウイルス危機に対応するのに役立つプロダクトに消費者が進んで金を使っていることを示している。ここには、大部分を占めるオンライングローサリーのピックアップと配達が含まれている。

Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)、Instacart(インスタカート)などの企業は増大する小売需要に対応するために新たに従業員を雇用した。The Informationが最近報じたが、Instacartに関していえば、新型コロナ感染拡大で需要が大幅に増えて初めて黒字になった。同社は4月の最初の2週間に7億ドル(約750億円)ぶんのグローサリーを販売し「これは2019年12月の売上より450%多い」と記事にはある。

一方、オンライン販売のエレクトロニクス製品部門はここ数年で初めてインフレとなった。アドビによると、オンラインのエレクトロニクス製品価格は2014年以来デフレとなっていたが、新型コロナウイルスにより価格下落傾向が止まった。

コンピューターの価格は需要増により4月には上がりさえした。加えて、オーディオミキサー、マイク、マイクケーブル、他のオーディオ関連機器の販売は4月に459%増えた。ポッドキャスターやクリエイターが家をスタジオにしたようだ。

エレクトロニクス製品部門全体がいま販売増となっているようだ。「エレクトロニクス製品サプライチェーンへの新型コロナウイルスの影響が今後しばらく続くかもしれないことを考えると、この傾向はすぐに終わるものではなさそうだ」とアドビのレポートは指摘している。

一方で消費者は4月にアパレル購入でもオンラインを利用した。販売は34%増えたが、価格は下がっている。解雇されたり在宅勤務になったりして職場に行くための服を着る必要がなくなり、アパレルの価格は月間としては過去5年間で最大の落ち込みとなった。4月の価格成長率は通常マイナス2.9%だが、今年の4月はマイナス12%だった。在庫を早く一掃しようと小売がセールを展開したため、価格はなお下がった。

アパレルの購入動向をみると、驚くことではないが消費者の購入意欲は快適アイテムに向かった。4月はパジャマ(143%増)のようなものがよく売れ、ズボン(13%減)やジャケット(33%減)といったビジネス服が振るわなかった。

特定の部門での販売増に加え、4月はまた「オンラインで購入し、店でピックアップ」の注文もかなり増えた。ショッピング時のソーシャル・ディスタンスを維持しようと、4月1〜20日の間、このスタイルの注文は前年比208%増となった。

アドビのデータは、4月にオンラインショッピングが急増したとする他のレポートと同調する。

たとえば6200種を超えるブランドと小売サイトのネットワークに基づくBazaarvoiceのデータは、4月は3月よりもeコマースが増えたことを示している。消費者は生活必需品(おそらくトイレットペーパー!)の確保を3月に終え、4月になっておもちゃやゲーム、エンターテイメント、スポーツグッズ、ペット用品に意識が向かった。

アドビのレポートではまた、消費者が新型コロナ危機を耐えていた4月にワインやビール、スピリッツとそれに関連するアクセサリーのオンライン購入が74%増えたことも明らかになった。

デジタルマーケティング会社のBazaarvoice(バザーボイス)によると、ページビューや注文、レビュー提供、質問の数など同社が追跡しているあらゆる指標が4月は3月よりも増えた。

ページビューに関しては、3月は前年比25%増だったが、4月は同88%増だった。また、注文数は3月に同21%増となり、4月は96%増だった。加えて、3月はページ閲覧のようなブラウジング行動が購買行動よりもはるかに多かったが、4月は購買の方が多くなった。

「オンラインへのシフトの全体的な影響として価格上昇があるかもしれない」とアドビは警告した。

「オンラインがオフラインの小売経済を吸収するにつれ、ここ数年なかったインフレが見られている。特にエレクトロニクス製品など、オンラインでデフレが続いていた部門で顕著だ」と Adobe Digital Insightsのディレクターを務めるTaylor Schreiner(タイラー・シュレイナー)氏は指摘した。「米国人はオンラインで安く販売されることに慣れているが、そうしたトレンドは終わるだろう。オンライン・コマースはこれまでと同じようにはならない。新型コロナウイルスがそうしたプロセスを加速させたようだ」

画像クレジット: AlexRaths

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

FacebookがVR造形ツール「Oculus Medium」をアドビへ売却

Facebookは、クリエーター向けの3Dバーチャルリアリティ彫刻ツール「Oculus Medium」をAdobe(アドビ)に売却した。Facebook傘下のOculusは、このチームに多大なエネルギーを注ぎ込んできた。それを売却することは、Facebookが社内でのVRプロジェクトの取り組み対し、広範囲に再考中であることを意味している。

Oculusは、長年にわたって非常に多くの資金をMediumにつぎ込んできたことは明らかだ。今回の売却は、Oculus Mediumチームにとって、歓迎すべきことではないだろう。このかなりニッチなソフトウェアに対する買収額が、その投資に見合った金額だったとしても。契約の条件は明らかにされていないので、Adobeがどのような取引を成立させたのかは不明だ。

幸いなのは、FacebookがあえてMediumをうまくスピンアウトさせる方策を取ったこと。以前FacebookがOculus Story Studioを廃棄した際には、同社は従業員をひそかに解雇していた。Mediumは小さなコミュニティで好まれている。Adobeが、これを自ら同社の他の製品と統合することは、かなり理にかなっている。間違いなく、より良いソフトウェアになるはずだ。今後もMediumが生き続けることが分かって、ほっとしている。

「Beat Saber」のメーカー、Beat Gamesの買収後にMediumを売却したのは、現時点でOculusのVRコンテンツ戦略を要約するような動きだ。つまり、ゲーム以外のクリエイティブツールには新たな投資は行わず、映画レベルのVRコンテンツの優先順位は低く、Facebookはタイトル数を増やすためにもっと多くのゲームスタジオを買収する準備をしているということ。長年にわたって、遠い未来のことだけを語ってきた部門にとって、これはおそらく実際のハードウェア上での見栄えを重視するという、現実的な戦略なのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPad用Photoshopのロードマップを発表、「被写体を選択」は今年中に実装

Adobe(アドビ)は、iPad用Photoshopのリリースに関してかなりの批判を浴びた。多くのユーザーが期待していたほどの機能がそろっていなかったというのがその主な理由だ。多く野ユーザーは、このiPadOS用の最初のバージョンがデスクトップ版のPhotoshopと同じように、フル機能を備えたものになると思っていたのだろう。

アドビとしては、基本的にiPad用のPhotoshopの開発中のバージョンをとりあえずリリースし、その後すこしずつ機能を追加するつもりであるとずっと主張してきた。そして今回、ようやくこの製品のロードマップについて、具体的な予定を明確にした。これでユーザーの不満をなだめることができるかもしれない。

2019年にはもうあまり時間が残っていないが、それでもアドビは今年中にiPad版のPhotoshopにいくつかの機能を追加する予定だ。それらによって日常的な操作体験が改善されるはずだ。まず、「被写体を選択」の機能を実装する。これは、重要な選択ツール「マジックワンド」を省略したことによる問題に対処するのに役立つだろう。数週間前のAdobe MAXでデモした「被写体を選択」機能は、アドビのSensei AI技術と連携して、選択ボックスの中の「被写体」を自動的に選択するもの。すでに、Photoshopのデスクトップバージョンでは利用可能となっていて、驚くほどうまく機能している。画像を合成したりする際に、オブジェクトをすばやく抽出してマスクしたり、移動したりすることができる。この機能だけでも、iPadでうまく機能すれば、プロのクリエーターにとって、かなり効果的なツールになるに違いない。

今年中のリリースを目指しているもう1つの機能は、iPad版Photoshopに最初から組み込まれていたAdobe Creative Cloud用のクラウドドキュメントシステムの、高速化と最適化が施されたバージョンを導入すること。これにより、クラウドドキュメントとして保存されたPSDファイルのアップロードやダウンロードが高速になる。また、プラットフォームをまたいだ作業も、より快適になるはずだ。

2020年に目を向けると、さらに多くの機能がiPad版のPhotoshopに搭載される予定となっている。たとえば、「境界線を調整」ブラシといった重要な要素が追加される。これは髪の毛や毛皮など、細かなテクスチャのあるオブジェクトを精度良く選択できるようにする機能だ。デスクトップ版と同様のクリエイティブな画像合成作業を、iPad版でもできるようにしてほしいと考えている人にとっては、非常に重要な機能の追加となる。また2020年には、色調を調整するためのトーンカーブや、レイヤーベースの非破壊的な調整ツールも追加される。さらに、感圧式のブラシや、キャンバスの回転機能も、iPad版のPhotoshopに追加される予定だ。すでにアドビが、デジタルペイントアプリFrescoで実現しているのと同様のものとなる。

2020年に予定されている機能のうち、iPad版をデスクトップ版にさらに近付けることになるものとしては、PhotoshopとLightroomの連携が挙げられる。これにより、LightroomでRAWファイルを編集し、そのまま直接Photoshopに切り替えて、連続したワークフローの中で、さらに編集を加えられるようになる。

これらが、アドビが来年中にiPad版のPhotoshopに付け加える機能のすべてというわけではなさそうだ。実際に同社は、公式のユーザーフィードバックツールを使って、ユーザーに機能の追加と改善に関するフィードバックを提供するよう求めている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)