Facebookで自作ビデオに有名曲が使用できるようになるかもしれない

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FacebookやInstagramのユーザーが、TwitterやSnapchat上のビデオより面白いものを作るためにはどうしたらいいだろうか?その答えは、耳に残るサウンドトラックだ。現在Facebookはライセンス契約獲得に向けて、レコード会社との交渉に力を入れている。

交渉が上手く行けば、両プラットフォームのユーザーは、自分の作ったビデオに人気曲を挿入できるようになり、撮影時に流れていた曲の著作権侵害を理由に、ビデオがブロックされるということもなくなるだろう。さらに以前私たちが提案していたように、ユーザーがビデオをアップロードするときに、人気曲をサウンドトラックとして挿入できるようなツールさえFacebookは開発できるかもしれない。

facebook-identify-tv-and-music同社は遅くとも2015年にはレコード会社との交渉を開始しており、当時The New York TimesはFacebookがユーザーのフィード上に音楽ビデオを配信するつもりなのではと報じていた。他にも、FacebookがSpotifyと競合するような、本格的な音楽配信サービスをローンチするのではと憶測している人までいた。

一方、昨年末にBillboardは、Facebookが以前開発した盗作(freebooting)動画を検出できる著作権管理ツール(Rights Manager)を補完する形で、音楽用にも著作権侵害対策ツールを開発しようとしていると報じた。そしてBloombergは、Facebookがユーザーの作ったビデオに含まれる音楽の著作権を守るために、一層の努力を重ねてきたと記している。

レコード会社との契約が形にならなければ、Facebookは著作権で保護されている楽曲を使用したビデオのアップロードを禁止したり、既にアップロードされているものを取り下げたりしなければならず、ユーザーの失望や怒りを買うことは必至だ。例えば、お父さんお気に入りのロック曲を挿入した家族旅行のビデオは、そのうちアップロードできなくなるかもしれない。また、車の中でふざけあっている友だちの様子を撮ったビデオも、撮影時にラジオから流れていたヒット曲をマイクが拾っているという理由で、ブロックされてしまう可能性があるのだ。

このようなことが起きれば、ユーザーはFacebookにビデオをアップロードしなくなり、同社は最もお金になる新鮮なコンテンツを失ってしまうことになる。

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YouTubeはこの問題を解決するために、Content IDシステムを導入した。このシステムは、動画内に含まれる著作権で保護された楽曲を検出し、著作権者に対して動画全体をブロックするか、動画に広告を表示させて収益の一部を受け取るかといったオプションを提供している。後者を選べば、ユーザーは自分のビデオがブロックされて苛立つことがなく、アーティストは楽曲のプロモーションができ、レコード会社も所有する楽曲から収益を生み出すことができるなど、関わっている人全員が何かしらのメリットを享受できる。

Facebookは既に独自の音声指紋テクノロジーを開発し、2014年に公開していた。ユーザーはこの音声指紋機能を使って自分が聞いている音楽の情報を入手したり、視聴している番組をステータスにタグ付けしたりできたのだ。あとは、レコード会社が動画に挿入された楽曲から収益をあげられるような契約がまとまれば、この問題を解決することができる。

つまりレコード会社は、Facebookというチャンネルや収益化の可能性を無駄にせず、問題をうまく解決するような選択をすることができるのだ。なお、Facebookはタイミングを見計らったかのように、元々Google・YouTubeの音楽パートナーシップ担当ディレクターを務めていたTamara Hrivnakをチームに迎え、今後彼女が音楽関連の戦略立案やレコード会社との交渉を担当していくことになる。

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残された問題は、楽曲がビデオを補完する付随物として利用されている場合と、ビデオが楽曲を収める箱のように使われ、実際はユーザーが楽曲を検索して無料で聞くことを目的にしている場合という、ふたつのケースの間にFacebookが上手く境界線をひくことができるかどうかだ。レコード会社の幹部が嫌う、後者のような楽曲の使用方法はYouTubeでよく見られる。

あくまで音楽はユーザーが作成するビデオに付随するもの、という位置づけの契約を結べば、プロが作った音楽ビデオを含め、レコード会社とFacebookのパートナーシップの幅が広がるかもしれない。さらにFacebookは、レコード会社との関係を使って、実際に動画に挿入するサウンドトラックを提案するようなツールを開発できる可能性もある。

しかし今のところ、Facebookはとりあえず主力サービスから、成長の妨げとなる要素を取り除こうとしているだけだ。ほとんどの人は、ビデオグラファーとしてもサウンドエンジニアとしても大した技術を持っていないので、ユーザーが作ったビデオの中には、つまらないものやひどい音声が収録されたものもある。しかし映像に合った楽曲が使われれば、パーティーの様子を収めた手ブレのひどいビデオやぎこちないパノラマビデオも、突然見ごたえのあるものへと変身する。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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