Facebookのユーザーは著作権のある楽曲をBGMなどに使っても削除要請を食う心配が少なくなった。Facebookは音楽ビジネスに力を入れている。主要レーベルや多数のインディーと契約を結んでいるだけでなく、今日(米国時間6/5)、ティーンエージャーに大人気のMusicallyに対抗して口パクカラオケ、Lip Syncのテストを始めた。
Facebookの新しいサービス、Lip Sync Liveのユーザーはリストから好きな曲を選び、自分が歌っているつもりで口パクを録画する。結果が気に入ればビデオを共有できる。Facebook Liveで放映してもよい。Lip Syncにはカミラ・カベロのHavana、Guns N RosesのWelcome to The Jungle、DrakeのGod’s Planはじめ人気の曲が何百曲か用意されている。
楽曲の著作権に関する新ルールの適用後、ユーザーがBGMを利用したビデオをアップロードすると、FacebookのRights Managerシステムは楽曲の著作権者に通知する。著作権者が承認すればそのまま公開されるが、著作権を得ていない、あるいは著作権に関して異議が申し立てられているビデオの場合、音声はミュートされる。Facebookは適正に利用された楽曲についてレーベルとアーティストに著作権料を支払う。ただしライセンスの額や料率がアップロード1件ごとに算定されるのか再生回数によるのかなどは明らかにされていない。
今回の新しい音楽サービスは昨年12月にFacebookがスタートさせたサウンドコレクション機能とは異なる。 こちらはビデオをアップロードする際に著作権フリーのジェネリックな楽曲や効果音が利用できるというものだった。Facebookはユーザーが著作権のある人気楽曲を選んでビデオで利用できるようなツールないしサービスを(まだ)提供していない。この機能はTechCrunchが以前から必要だと主張しており、Facebookも一時、Instagramで実験していた。
ただ残念ながらアップロードの前に楽曲をビデオに追加する編集機能のあるアプリをスマートフォンにインストールしているユーザーは少ない。しかしカフェなどでバックグラウンドに音楽が流れているところを撮影した場合、そのビデオが著作権者によってブロックされるという可能性はだいぶ減ることになる。Facebookによれば数ヶ月以内に「Facebookストーリーズに好みの楽曲を追加できるようにする実験を開始する」という。これはわれわれがレポートしたInstagramでの実験とほぼ同様のものになるはずだ。
今日の発表は無名の曲や効果音ではなく、人気楽曲の共有を可能にするもので、音楽の利用に関してFacebookが正しい方向に大きく一歩進んだことを意味する。いくら友達からのニュースフィードでも画面がぐらぐらするありきたりの内容のビデオを見るのはつらい。ストーリーズで共有できるようになった15秒以上の長いビデオでであればなおさらだ。しかし人気の曲がサントラに入っていればビデオが退屈でも見てしまうだろう。内容にマッチした楽曲であれ素晴らしいものに一変するかもしれない。
人気曲を付加されたビデオは視聴時間を大きくアップさせる。バイラルな拡散に依存しなくともFacebookへのユーザー・エンゲージメントを強化する効果があるだろう。これはユーザーの精神状態に不必要な負荷をかけないという意味でも好ましい。【略】
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)