やっとズームイン、ズームアウトを繰り返す必要がなくなる。FacebookはようやくパノラマやVR写真をスマートフォンで表示するための当たり前の方法を採用した。360 Photosと名付けられた機能がiOS、Android、ウェブ、Gear VRでスタートする〔日本版注参照〕。これでパノラマやVR写真の作成にもはずみが付くだろう。
1ワールドトレードセンター・ビルの頂上からニューヨークを見渡したマーク・ザッカーバーグのパノラマはここで見ることができる。
iPhone、Samsung Galaxyのパノラマ機能、あるいはリコーThetaなどで撮影した360°アプリの写真を普通の写真と同様に投稿できるようになった。Facebookはこれらの写真を自動的に360 photoに変換する。ユーザーが360 photosの写真を表示するとコンパスのアイコンが表示される。ユーザーはデバイスを傾けるだけで写真を隅々まで眺めることができる。クリックないしタップしてドラグすることももちろん可能だ。Gear VRを持っていれば、上部右側の“View in VR”ボタンを押すとヘッドセット用の画像に切り替わる。ヘッドセットを着用したユーザーは頭を動かして周囲を見回すことができる。
Facebookでは大勢の有名人やサイトのパブリッシャーが360 photosを利用した写真の公開のために列を作っている。国際宇宙ステーションの内部写真を公開したNASAには10万人ものファンがいる。ポール・マッカートニーやNew York Timesのアカウントも要チェックだ。NYTは最高裁判所の知られざる内部を撮影している。
Facebookのプロダクト・マネージャー、Andy Huangはブログに「Facebookに写真を投稿できるようになったのは10年以上前だが、たちまちユーザーが体験を共有するための主要な方法になった」と書いている。Facebookでは写真同様にビデオ、360°パノラマ、拡張現実が体験共有のための主要なプラットフォームになると信じており、ニュースフィードにそうした機能を採用してきた。将来、Instagramも360°パノラマ写真をサポートするかもしれない。
ユーザー生成コンテンツの投稿先としてFacebookが非常にポピュラーな存在であることはパノラマ写真の共有でも有利に働く。Snapchatでは投稿写真を誰でも見るわけにいかない。Twitterもまだテキスト中心のプラットフォームだという印象が強い。360°パノラマ写真が優れたコンテンツだと認められてFacebookで人気を得るなら、これもまたFacebookを毎日使う理由の一つになるだろう。
同時に、 360 Photosは企業やブランドに取っても注目を集めるマーケティング手段となりそうだ。映画のセット、旅行の目的地となる有名スポットなどが360
photosの広告となって登場する日も近い。
Facebookでは、Samsung Gear VRの月間ユーザーが100万人を超えたというニュースと共に360 Photosという新機能を追加することを先月予告していた。ただしその時点では見ることができるパノラマ写真のバリエーションが少なく、有力ソフトメーカーのゲームや映画などに限られていた。
Facebookではこの点に対処すべく、360°サラウンド・カメラを開発し、デザインをオープンソース化し、3万ドルの資金があるプロが自分で最高品質のVRを撮影できるデバイスを作れるようにした。しかし一般ユーザーがFacebook向けのVRコンテンツを作ろうとする場合はFacebook傘下のOculusのRiftとSamsung Gearヘッドセットが依然、主要な手段となるようだ。
〔日本版〕パノラマ写真はデスクトップ、モバイルともウェブ版では表示可能。360 Photoは円形の中に視野を示す扇型のアイコンが表示される。ドラグして周囲を見ると視野を示す扇型も同期して動く。ただし記事翻訳の時点では「傾けてパノラマを見回す」機能は訳者の環境には実装されていなかった。アップデート後に有効となるようだ。 ザッカーバーグの投稿によれば、1ワールドトレードセンターから見渡したニューヨークの写真は、Michael FranzとJonathan D. Woods がTIMEのために撮影したものという。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)