Facebookの「監査審査会」に対抗し活動家による「真の監査審査会」が発足

米国時間9月30日、学者、研究者、公民権運動の指導者などからなるグループがThe Real Facebook Oversight Board(真のFacebook監査審査会)を発足させた。来たる米国大統領選挙におけるFacebook(フェイスブック)の役割を批判・議論するための会だ。メンバーには、元Facebook選挙セキュリティー責任者、#StopHateForProfit キャンペーンのリーダー、およびFacebookの初期投資家であるRoger McNamee(ロジャー・マクナミー)氏が在籍している。Facebookは昨年11月にコンテンツ管理の厄介な問題に対応するために「監査審査会」を自社で立ち上げたが、選挙期間中にコンテンツや活動を監視するつもりはなく、選挙終了後に問題を審査するだけであることを、正式に認めている。

発足記者会見は以下のチャンネルで中継される。

Facebook創業者のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は昨年11月、監査審査会は「極めて重要な取り組み」であり「社内の各チームが意思決定に集中しすぎることを防ぐ」とともに「説明責任と監視」を促進すると強調した。

それはFacebook内での意思決定の難しさを認めた行動とも見られた。物議を巻き起こす投稿を削除するかどうかの判断は、個々の幹部の責任となることから、監査審査会はコンテンツ管理の「最高裁判所」のような役割になると言われている。

しかし審査会は、意思決定には最長3カ月を要し、審査の対象はプラットフォームから削除されたコンテンツのみであり、残っているものは審査しないことを認めている。

Facebookはこの審査会に1億3000万ドル(約137億1700万円)を投資し、5月にデンマークの元首相であるHelle Thorning-Schmidt(ヘレ・トーニング・シュミット)氏やGuardian(ガーディアン)紙の元編集長であるAlan Rusbridger(アラン・ラスブリジャー)氏などで構成される初期の委員会メンバーを発表した。

一方、活動家主導の「真のFacebook監査審査会」には、Facebookの辛口批評家として知られるエストニアのToomas Hendrik Ilves(トーマス・ヘンドリク・イルヴェス)元大統領や、サイバー名誉毀損で現在フィリピンで収監中のジャーナリストであるMaria Ressa(マリア・レッサ)氏らが参加している。

真のFacebook監査審査会のメンバーにはほかに、The Age of Surveillance Capitalism(監視資本主義の時代)の著者、Shoshana Zuboff(ショシャナ・ズボフ)氏、NAACP(全米黒人地位向上協会)代表のDerrick Johnson(デリック・ジョンソン)氏、元Facebook選挙整合性責任者のYael Eisenstat(ヤエル・アイゼンスタット)氏、公民権擁護団体のColor of Change代表のRashad Robinson(ラシャド・ロビンソン)氏、Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)CEOのJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏らも名を連ねる。

Facebookがいかにコンテンツを管理し、ユーザーをキャンペーンのターゲットにすることを許すかの問題は、米国大当郎選挙が近づくにつれ喫緊の事態となっている。すでに英国のChannel 4 Newsは、2016年大統領選挙でトランプ氏陣営が、米国の黒人350万人の投票を阻止するために、Facebook上でプロファイリングを実施していたことを暴露した。

 

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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