Facebookの写真をGoogleフォトに暗号転送するツールが全世界で利用可能に

Facebook(フェイスブック)の写真移行ツールが全世界のユーザーに公開された。ヨーロッパで最初に提供されてから半年後のことだ。6月4日に同社が発表した。

このデータポータビリティー機能は、FacebookユーザーがGoogleのフォトサービスに暗号化転送を使って自分の写真をコピーできるもので、手動でダウンロードしてアップロードする必要がない。つまり、ライバルサービスに乗り換えるハードルが下がることになる。

Facebookユーザーは、設定のあなたのFacebook情報メニューの「写真またはビデオのコピーを転送」でこの機能を利用できる。

これは、Facebookが以前から提供してきた、さまざまなユーザー情報(写真を含む)をダウンロードする機能と同じメニューだ。しかし、かつての巨大データはほとんど使い道がなかった。一方、新しい写真の直接転送はアカウント乗り換えに伴う障壁を減らしてくれる。

Facebookはこの機能を昨年末にアイルランドで初公開した後に今年3月に対応地域を増やし4月には米国とカナダでも公開した(訳注:日本でも利用可能になった)。

そしていま、全Facebookユーザーが使えるようになった。しかし移行先はまだGoogleフォトだけだ。つまり、どこのスタートアップサービスにも役に立つようなデータポータビリティーではない。今のところ。

Facebookは他のサービスへの対応も開発中だと表明している。ただし、このためには協力相手の開発者がフォトAPIに必要なアダプターを作る必要がある。それは結局、オープンソースのData Transfer Project(DTP、データ移行プロジェクト)の参加者が増えることに依存している。

DTPは2018年に設立され、多くのテック巨人がプラットフォーム間のデータポータビリティー推進という掛け声に乗った。このプロジェクトが広く受け入れられる背景には、巨大プラットフォームが市場競争に与える悪影響に米国やヨーロッパの規制当局が目を光らせているという事実がある。

データ移行に一定のリソースを投入することは、巨大企業が反トラスト法の追及に対応する戦略のひとつで、さもないと支配的帝国はデジタル市場の均衡化のために分割されてしまう。

もしプラットフォームが「自分たちはユーザーを囲い込んでなどいない、なぜならネットワーク効果によって留まってはいるが、ボタン1つでデータを持って好きなところへ引っ越せるからだ」という論理を展開できれば反トラストによる追及のリスクを軽減し、デジタル規制の大改革を阻止できるかもしれない。

ヨーロッパは間違いなく、プラットフォームの力を弱めるためにルールブックを改訂すべく、年内にはデジタルサービスを抑え込む法案を通そうとしている(未訳記事)。

EUの議員らも、デジタル市場の不均衡に対応するために反トラストの新しい道具が必要かどうかを検討している。提案されているのは、欧州の規制当局による介入をスピードアップするもので、違反行為を見つけなくても行動的、構造的な問題に手を入れることができるようにする。

それはそれとして、 限定ユーザーに公開されてからの半年間で、実際のところ何人のFacebookユーザーがこの写真移行ツールを使ったのかは興味深いところだ。

Facebook広報はTechCrunchに対して「具体的な数字は現時点ではない」としたが、「多くの」ユーザーがツールを使って写真の移行を行っていると語った。

「移行システムについて、公開以来フィードバックしてくれている人たちから好意的な反応を得ている」と担当者は付け加えた。「ツールの存在を知る人が増え、新たな移行先やデータタイプが追加されれば、利用者が増えるだろうと期待している」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。