FacebookのCEO、投稿コンテンツやプライバシーで規制を求める

編集部注この記事は米国時間330日に掲載された)

Facebook幹部による意見表明が相次ぐ忙しい日だった。Facebookはクライストチャーチでの銃乱射事件に関して沈黙を続けていたが、米国時間330日の朝早くSheryl Sandberg氏がその沈黙を破り、そして今度はMark Zuckerbergマーク・ザッカーバーグ)氏氏が行政や他機関にFacebookが扱うデータに対し規制を強化するよう求めている。彼は、厳しい規制を引き出し、それを吟味していくことを思い描いているようだ。

ザッカーバーグ氏は自身のページとワシントンポスト紙の両方で同時に書簡を公開した。ワシントンポスト紙での掲載は政府関係者に訴えるのに理想的な手段だ。ここ数年集中砲火を浴び続けてきた氏は、主要4分野で外部による監査を厳しくする必要があると述べた。

有害なコンテンツ
ソーシャルアプリが評価される、全体にかかるルールや基準を定める。

公正な選挙
政府が政治広告や問題広告の定義を明確にする。

プライバシー
違反した場合には罰則を科すことができるGDPRスタイルの規制をグローバルで導入する

データポータビリティ
アプリから別のアプリへとデータを移管できるようにする

4つの各分野は、Facebookの最近の履歴を示している。いくつかの論争が一度にFacebookを襲い、Facebookの近年は苦闘と失策に満ちている。議会の前で証言するよう求められるCEOはそうはいない。Facebookは信じられないほどの量のデータを保有・管理していて、ターゲティング広告や対人関係から、ニュースサイクルや選挙に至るまで、全てにおいて主要な役割を果たしている。

私はこの2年間のほとんどの時間を有害なコンテンツや公正な選挙、プライバシーといった問題にあててきた。私が思うに

Mark Zuckerbergによる投稿、2019330日土曜日

Facebook白人ナショナリズム白人分離主義」のコンテンツを禁止することを発表して3日たち、「政治家は、しばしば私にFacebookが言論に対してあまりにも大きな影響力を持っていると言うが、正直、その通りだ」とザッカーバーグ氏は書いている。そして彼は、人々が全ての責任をFacebookに押し付ける前に設置した独立監視委員会など、様々な国の政府との取り組みについて書いている。

1つ考えられるのは、サードパーティーの機関が有害なコンテンツの投稿を監視する基準を設け、そうした基準を企業が守っているか評価することだ」「規制は、何が禁止されるのかベースラインを設け、有害コンテンツを最小限に抑えるシステムの構築を企業に求める、ということになるかもしれない」とザッカーバーグ氏は続けている。

また、選挙での不正操作や政治広告をめぐる規制を強化するよう求めてもいる。米住宅都市開発省は今週はじめ、Facebookのターゲティング広告が公正住宅法に反しているとして告訴している。

しかし、こうしたザッカーバーグ氏の意見表明はいくぶん虚しく響く。というのも、これら4分野で改善を図るために政府のサポートなしにFacebookができることはたくさんあるからだ。

Facebookの有害コンテンツポリシーは長い間紛らわしくて矛盾が多く、そして現実とかけ離れたものだった。たとえば、Infowarsの陰謀論者Alex JonesFacebookから追放されたが、Instagramからは追放されていない。悪者は問題のある投稿を広めるのにソーシャルネットワーク間を渡り歩くことができる。Facebookは傘下の全アプリにポリシー適用を強制すべきで、追放するかどうかを内部で話し合う代わりに倫理に基づいて公に判断すべきだ。そして、最悪の反則者を引きずり下ろすのを調整するために、仲間のソーシャルネットワークとより協力すべきだ。

公正な選挙については、今週Facebookは大きく前進した。すべてのアクティブ非アクティブの政治広告キャンペーンをキーワードで検索できるAd Libraryに収めた。しかし、宣伝につながる政治的記事を従来のキャンペーン広告と横並びにされたくないニュース出版元からの圧力を受け、Facebookはそれらを例外とした。そうした広告はいまだに選挙権を持つ人に影響を与えることができる。それらは別に扱われるべきだが、それでもリサーチのためにアーカイブ化されるべきだ。

プライバシーに関しては、すべきことが山ほどある。改善すべき大きなものとしては、ストーカーを避けられるよう、人々が電話番号を含む検索から完全にオプトアウトできるようにすることが挙げられる。他のユーザーのアドレスブックにあなたの連絡先がアップロードされた時、Facebookがどのようにあなたの連絡先情報を使うのか、さらにコントロールされるべきだろう。

最後にデータのポータビリティだが、Facebookの取り組みは遅々としている。1年前TechCrunchは、他のソーシャルネットワークで友達を探すのにフレンズの名前のリストをエクスポートするのをFacebookがいかに制限しているか、詳細な記事を掲載した。Facebookはそうしたソーシャルグラフを、ユーザーがアプリを切り替えてもコミュニティを保てるよう、真に交換できるようにしなければならない。そうすれば、Facebookをやめることがユーザーにとって実行可能なオプションになり、Facebookはユーザーに真摯に向き合わざるを得なくなるだろう。

そうした取り組みを実行すれば、ザッカーバーグ氏は寛大にみてもらおうとリップサービスをばらまいているわけではないことを当局に示せるだろう。それはひいては、社会に対する姿勢を改める用意ができていると示すことになるはずだ。

イメージクレジット: Chip Somodevilla / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。