終わることのない世間の批判を浴びながらもFacebook(フェイスブック)は成長を続け、メディアの反発と業績の悪化が必ずしもイコールではないことを示した。
Facebookの月間ユーザー数は24.5億人に達し、2019年Q2の24.1億人からから1.65%伸ばした。前期の伸び率は1.6%だった。1日当たりのアクティブユーザー数は16.2億人、2%増で、前期の1.6%増15.87億人から上昇した。売上は176.52億ドル対前年比29%増、1株当り利益は2.12ドルだった。
Facebookの実績はRefinitiv(リフィニティブ、トムソン・ロイターのファイナンシャル・リスク部門が前身の会社)の業績予想では売上で173.7億ドル、1株当り利益(EPS)1.91ドルを上回った。ただし、Bloomberg(ブルームバーグ)の業績予想ではEPS 2.28ドルにはおよばず悲喜こもごもの四半期だった。Facebookの利益は60億ドルで、前期はSECとの和解金支払いのため利益がわずか26億ドルだった昨年を上回った。。
Facebook株は、決算発表後の時間外取引で5.18%高の198.01ドルだった。その日の一般市場の終値は0.56%安の188.25ドルだった。
注目すべきは、Facebookが事業の中核をなす米国・カナダ、および欧州市場でそれぞれ200万人のユーザーを獲得したことだ。過去2年間は不調の四半期が続きゼロないしわずかな成長だった。1ユーザー当たりの平均売上は全市場を通じて順調で、現在大幅にユーザーを増やしている途上国における収益能力を高めたいFacebookにとって吉兆だった。
Facebookによると、毎日22億人のユーザーがFacebook、Instagram、WhatsAppまたはMessengerを使用しており、28億人が毎月1度以上このファミリーのアプリをどれか使っている。前四半期はそれぞれ21億人と27億人だった。Facebookは、復活したSnapchat、最近ではTikTokなどとの激化する競争の中、ユーザーの定着を実現している。しかし、ライバルたちが対抗に力を入れているInstagramについて、Facebookはユーザー統計情報を公開していない。
ザッカーバーグ氏は自らの政治広告方針を擁護
Facebookの決算会見は、Twitter CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が10月30日、政治広告を全面的に禁止すると発表したことで影を投げ掛けられた。政治広告の全面禁止は、以前TechCrunchがソーシャルネットワーク各社に推奨していた。ドーシー氏の行動は、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、かつてFacebook広告のファクトチェックを拒み、政治家が虚偽情報を流す片棒をかついだことと好対照をなした。このことはFacebookに方針を再考させる圧力を高めることになるだろう。
ザッカーバーグ氏は自身の方針を強化し、「透明性を高めることがいいアプローチだと信じている。Facebookにおける広告はすでにどこよりも透明だ」と彼は言った。その方針が欲得から来ているという指摘を打ち消そうと、政治広告による収益は「来年の収益の0.5%以下にしかならない」と主張した。人々はそれに同意せず問題は続くであろうことから、同氏は来年が「非常に厳しい年」になることを認めた。
さらにFacebookは、筆頭社外取締役のSusan D. Desmond-Hellmann(スーザン・デスモンド・ヘルマン)氏が健康上の理由で辞任したことも発表した。
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決算会見の要点
Facebookは、Q4に売上が減速すると予測している。しかし、CFOのDavid Wehner(デビッド・ウェナー)氏は、「2020年の売上減少はQ4と比べてずっと緩やかになる」との希望を示した。その結果Facebook株価は191ドル前後から198ドル前後へと急騰した。
それでもFacebookは、その積極的な雇用を継続するだろう。人工知能が益々役立つようになると会社は言っているが、ザッカーバーグ氏は人員増加を続けると言う、なぜなら「とにかくコンテンツの量が多いので多くの人間が必要」だからだ。
暗号通貨Libraに対する規制の強化についてザッカーバーグ氏は、もしうまくいかなくてもFacebookはすでに決済手段の多様化を進めていると表明し、WhatsApp PaymentやFacebook Marketplace、Instagram shoppingなどの存在を挙げた。
反トラストの懸念についてザッカーバーグ氏は、アナリストたちはFacebookがInstagramを買収した時にい同社の成功を信じていなかったが、Facebookの支援のおかげで激しい競争に勝って生き延びたことをあらためて語った。今後多くを聞くことになるであろう話題の1つとして同氏は、ライバルたちがある分野の成功を利用して他の分野を強化していることを指摘し、「AppleとGoogleはカメラを作り、個人写真の共有と写真管理を直接オペレーティングシステムに組み込んだ」と語った。
スキャンダルは続く、しかし成長も続く
総合的に見て、今期もまたFacebookに対する社会認識の厳しい四半期だった。規制当局からLibraの承認を取り付けるための苦悩が続いた。Facebookの共同創業者であったChris Hughes(クリス・ヒューズ)氏(SXSWで私と一緒に話をする予定)は、Facebookは分割されるべきだという運動を展開した。エリザベス・ウォーレンを始めとする大統領候補らと同じ立場だ。
Facebookは新たな収入源も見つけた。コンテンツクリエイターに対するファンの支援から30%の手数料を得ることもその1つ。さらにビデオのサブスクリプションをパブリッシャーに販売するほか協業向けサービスWorkplaceの料金を値上げした。
しかし、そうした収入増も、プラットフォーム上での違法コンテンツの摘発に必要な人件費で帳消しされそうで、社員数は前年比28%増の4万3000人になる見込みだ。コンテンツ管理者の扱い方にはまだ問題が残されており、海外発の組織的な虚偽情報を繰り返し削除しなくてはならなかった。次第に進むブランド力の低下に対応すべく、FacebookばInstargramとWhatsAppに「from Faceboook」の名を冠した。
FTCによる追究はわずか50億ドルの罰金で和解に達し手ぬるい懲戒だと指摘する向きもあり、、ビジネスモデルを大きく変えるつもりがない点については特に問題視された。しかし同社はプライバシー、セキュリティー、および透明化のための新たな要求に答えるために、製品リソースへの投資と多様化を続けなくてはならない。こうした事情によって、中国のIT巨人であるByteDance(バイトダンス)のTikTokの迫りくる脅威への対応は遅れるかもしれない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )