Facebookプラットフォームの変遷

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編集部注:Ben SchippersHappyFunCorpの共同ファウンダー。大規模なモバイル・ウェブエコシステムに影響を与えるソフトウェアの開発に日々努力している。

最近のF8カンファレンスで、Mark ZuckerbergがFacebook Messengerは新たなデベロッパープラットフォームになると発表したのを聞きながら、私は2007年にFacebook自身がプラットフォームになったことを思い出した。当時のFacebookは違っていた。大量の友達を招待して数多くのゲームをプレイさせ、プラットフォームを通じて新しいタイプのアプリケーションを作ることができた。Facebookプラットフォームの2007年は、西部開拓時代によく似ていた。ソーシャルグラフを探ったり作ったりするには楽しい時代だった。

それは大会社がAPIを開放することによって、友達同志で情報を交換したりゲームをプレイしたりシェアしたりする新しい方法を提供した、最初の成功例だった(少々トラブルもあったが)。その頃開発に関わっていた者として、Messengerプラットフォームを通じてその一部が再現できることを大いに期待している。

しかし、今の状況は少々違う:多くのことが変わったが、決して悪いことではない。2007年のFacebookはとにかく動く速さが違っていた。当時カンファレンスでリリースされたプラットフォームと同レベルの開発をMessengerプラットフォームで行うためには、あと数回のリリースが必要だろう。2015年のFacebookはより成熟しており会社は上場されているため、リリースに関してずっと慎重になっている。早く作りたいデベロッパーにとっては苛々させられるかもしれないが、これは必要なことだ。

初期のプラットフォームで、システムがオープンすぎることは明らかだった。デベロッパーらはスパムを放ち、ユーザーのデータを不適切に利用し、人間味のない浅薄なユーザー体験を与えることが多かった。時間と共に、Facebookはゆっくりだが着実に主導権を取り戻してきた。

何百人もの「友達」を招待し、牧場で遊んだりマフィアを手助けさせたりするのは楽しかったが、こうしたゲーム体験の本質は、友達のニュースフィードにできるだけ多くのコンテンツを押しつけることであり、友達同志の深いオンライン関係を生み出すことではないと常に感じていた。

そうした経験を通じて、Messengerプラットフォームが異なる使命を持って登場したことは明らかだ:友達と直接かかわる優れた製品と体験をデベロッパーが作ることだ。Messengerの資料が示唆する本質は、集中した、明確な、構造的に健全な体験を作ることであり、それは2007年にはなかった考えだ。

Facebookが初期プラットフォームから成長してきたように、デベロッパーの開発方法も成長している。Messengerプラットフォームは、Parse、Facebook Connectおよび強力なディープリンク機能が殆どすぐに使えるよう統合されており、全く新しいタイプのクリエイティブなアプリケーションを作れる新プラットフォームとして最適だ。

最近の決算会見でZuckerbergは、全VoIP利用者の10%に当たる6億人のユーザーが使っていることを公表し、Messengerが2007年のプラットフォームと同様、戦略的配布方法の極めて有効な選択肢であることを説明した。

現バージョンのMessengerプラットフォームは、GiphyHappyAlchemyおよびApptly等のターン型ゲームやカスタマイズドメディア配信で活用されている ― 他のプラットフォームが苦戦してきた分野だ。デベロッパーは様々な形でシンプルな発想を強いられ、スパム性の低い友達や友達グループとのより親密な体験を作ることを余儀なくさせられる。

Facebookがこの成長するデベロッパーツールに、今後も深い統合を加え続け、戦略的クロスプラットフォーム統合を進めていけば、Facebookはデベロッパーの間で長期的な勝者になれるだろう。

Messengerの高度に集中し制御されたプラットフォーム展開も、まだ始まりにすぎない。2007年版のFacebookプラットフォームの方が規模は大きかったが、今起こりつつあるこの新しい開発スタイルは、すぐにずっと大きい影響力を持つことになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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