Facebook取締役会にザッカーバーグ氏の友人でDropboxのCEOが参加

株主は、もう何度もFacebookのマーク・ザッカーバーグ会長を追放しようと試みてきた。取締役会は、それを何度も拒否してきた。外部の投資家は、Facebook取締役会に新たに加わったメンバーに助力を期待しても無駄のようだ。その人とは、Dropboxの共同創設者でCEOのDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏だ。

今回の取締役会のメンバー増員は、昨年10月にSusan Desmond-Hellmann(スーザン・デスモンド・ヘルマン)博士が取締役会を去って以来初となる。彼女は筆頭独立社外取締役だったが、その席は空いたままだった。資本関係のある「独立」の肩書きだが、ビジネスとは別に個人的にザッカーバーグ氏と友人関係にあるストレージサービスのスタートアップであるDropboxのリーダーのヒューストン氏がその地位を引き継ぐことには無理があるかも知れない。

ザッカーバーグ氏とヒューストン氏は8年来の親しい仲で、少なくとも2012年から、選ばれた人だけが参加できるAllen & Co Sun Valleyカンファレンスの会場で一緒に車を乗り回す姿が撮影されている。それほどの派手さはないが、ザッカーバーグ氏とUberの元CEOであるTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏がヒューストン氏の誕生日を、サンフランシスコのピンポンバーSPiNの「美女とスポーツ」をテーマにしたパーティーで祝っている写真もある。

サンフランシスコのピンポンバーSPiNで卓球を楽しむザッカーバーグ氏と、それを見るドリュー・ヒューストン氏(右)。写真:Ryan Soule of SPiN、USA Todayより

ヒューストン氏はまた、Dropboxより数年先に株式公開の試練を経験したザッカーバーグ氏を心の師と仰いでいる。ヒューストン氏は、2015年、ブルームバーグに「(ザッカーバーグ氏は)会社の規模拡大、従業員のまとめ方、そうした組織の作り方に関して、たくさんの助言をくれた」と話している。

同氏はMITコンピューターサイエンス科出身の熟達の技術者であり、在学中にDropboxのアイデアを思いついた。Facebookが終端間の暗号化を拡張するためにメッセージングアプリを統合しようとしたときは、同氏の助言が大いに役立っているはずだ。

しかし、Dropboxがそのコンテンツのモデレーションと社会的影響力という、ザッカーバーグ氏とFacebookが常に突きつけられている2つの問題に関してあまり厳しく監視されていないこともあり、彼が大きな話題になる可能性は、デスモンド・ヘルマン氏ほど高くないだろう。ヘルマン氏は、慈善団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団のCEOを務めていたことがあり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の学長でもあった。

Facebookの株主は、2018年末2019年中頃、その他数回にわたり、ザッカーバーグ氏に取締役会会長の座を降りるよう求めてきた。しかし、取締役会の他のメンバーはみな、早期に安全性の強化ができなかった責任を認め、セキュリティーとコンテンツのモデレーションに投資をしたことによる現在の収益減少を警告されている同氏を支持し続けている。反発が止まず、先週の収支報告にも批判が強いFacebookだが、株価は史上最高値に近づいている。

Facebookの現在の取締役会には、ザッカーバーグ氏、PayPalのPeggy Alford(ペギー・アルフォード)氏、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏、General CatalystのKenneth I. Chenault(ケネス・I・シュノルト)氏、FacebookのSheryl K. Sandberg(シェリル・K・サンドバーグ)氏、Founders FundのPeter A. Thiel(ピーター・A・ティール)氏、Cranemere GroupのJeffrey D. Zients(ジェフリー・D・ザイエンツ)氏、ヒューストン氏が在籍している。

ザッカーバーグ氏に対する発言力が強い取締役を望むなら、将来的には独立社外取締役の席を埋める人物にはよく目を光らせておく必要がある。他のメンバーと違いザッカーバーグ氏に反論できる人物として知られていたNetflixのReed Hastings(リード・ヘイスティングス)CEOは、去年取締役会を去っている。

ザッカーバーグ氏とその内輪の仲間は、テクノロジーが私たちの生活を向上させると信じる楽観主義者として知られている。民主主義、人権、人々の関心にソーシャルネットワークが与える影響について健全な程度に懐疑論をもたらす独立社外取締役がいればFacebookは大いに得をする。この機会をFacebookはうまく利用できた。富と権力のためなら喜んで他人を騙したり陥れたりする人間であろうと誰彼構わず引き入れたときの弊害の予防策を講じるよりよっぽどいい。新しい取締役会のメンバーが、テクノロジーの副作用について、またそれが世界中の発展途上国に大変動を引き起こす可能性について、広い見識を持っているならば、Facebookの25億人のユーザーは多く得ることができるだろう。

画像クレジット:Kevork Djansezian / Staff / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。