FigmaがUIデザインにもたらしたものを建築デザインで実現したいと考える「Arcol」

Arcolは、ブラウザ上で動作する設計・文書化ツールの構築の初期段階にある。

Paul O’Carroll(ポール・オキャロル)氏は、建築家である彼の父親が、建物の設計に使えるデジタルツールが不足していることに不満を抱いているのを見て、2021年1月に同社を立ち上げた。彼は、父親が鉛筆と紙を持って机に向かい、6カ月後に実現し始める建物をスケッチしているのを見て育った。

Arcolに入社する前、オキャロル氏はデジタルデザインスタジオで、大企業向けのデザインツールを作っていた。彼は、使われている技術が何十年も前のものであることを知り、Autodesk(オートデスク)のようなレガシーツールに挑戦したいと考えた。

「このような中で、建物の設計に使われるツールがいかにひどいものかを身をもって知り、建築家、エンジニア、請負業者のためにもっと良いツールがあるべきだと思ったのです」とオキャロル氏はTechCrunchに語った。「FigmaがUIデザインの分野で成し遂げたことを、建築デザインでやりたいのです」。

Arcolの創業ストーリーについては、オキャロル氏のブログでより詳しく知ることができる。同社は2Dスケッチを3Dモデルに変換するウェブベースのツールを開発中で、これにより、小さなビルから超高層ビルまで、クリエイティブでコラボレイティブなキャンバスを使って設計することが可能になる。

この製品は現在開発中で、2022年後半に発売される予定だ。オキャロル氏によると、ウェイティングリストは8000人を超えたところだという。彼は、この技術は構築が複雑で、製品は今後数カ月でクローズドアルファに入り、5月頃に20件の顧客を対象にプライベート展開される予定だと語った。年末までには、一般に公開する予定だという。

Arcolの創業者ポール・オキャロル氏(画像クレジット:Arcol)

この勢いを維持するため、同社はCowboy Ventures、FigmaのCEOであるDylan Field(ディラン・フィールド)氏、Figmaの企業開発・戦略責任者であるLauren Martin(ローレン・マーティン)氏、元MozillaのCEOでFigmaの取締役でもある投資家John Lilly(ジョン・リリー)氏、ProcoreのCEOであるToey Courtemanche(トワ・コートマンシュ)氏、元AutodeskのCEOであるAmar Hanspal(アマル・ハンスパール)氏、Not Boring Capitalの創業者でエンジェル投資家のPacky McCormick(パッキー・マコーミック)氏が支援する360万ドル(約4億2700万円)のシード資金を調達した。これにより同社は、2021年150万ドル(約1億7800万円)のプレシード資金を獲得したのを含め、累計500万ドル(約5億9300万円)強の資金を調達したことになる。

今回の資金調達は、経営陣の充実と現在5名のArcolの従業員の増員に充てられる予定だ。

オキャロル氏はこう述べている。「市場の不満がピークに達しているため、製品を迅速に構築する必要があります。建築家にとって実現されていなかったことであり、そのためにクリエイティブな側面が失われてしまいました。私たちは、魔法をよみがえらせたいのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Den Nakano)

投稿者:

TechCrunch Japan

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