GMが米国のレアアース磁石生産を強化する2つの契約を締結

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)はこの1年間、2020年代末までに生産する数百万台の電気自動車のために、バッテリーセルの製造や正極活物質、リチウム、さらにはスクラップを原材料に変えるリサイクルなど、国内のサプライチェーンを確保してきた。

現在、GMC Hummer EC、Cadillac Lyriq、Chevrolet Silverado EVなど、今後発売される電気自動車のモーターに使用されるレアアースの鉱物、合金、完成品の磁石を、MP Materials(MPマテリアルズ)との提携と、ドイツのVACとの別の契約により、国内で調達しようとしている。その結果、米国内に2つの施設が新設され、レアアース磁石の国内生産が強化される。

GMは、自動車の車輪を動かすトルクを生み出す電気モーターの主要部品である磁石を大量に必要としている。GMは、2025年までに30台の新型EVを世界市場に投入し、2035年までにすべての生産車両をゼロエミッションにする計画だ。GMC Hummerだけでも、最大1万1500ポンドフィートのトルクを持つ3つのモーターが搭載される可能性がある。

提携により、GMとVACは、電気モーター用の永久磁石を製造する工場を米国内に建設する。VACとの合意は、現時点では拘束力がない。GMの幹部は、12月9日の手短な会見で、両社は2022年初めに最終的に合意する見込みだと述べた。工場の生産開始は2024年を予定している。施設の場所は後日発表されると両社は述べた。

MP Materialsとの契約は、鉱山から磁石への提携、という意味合いが強い。レアアースは、カリフォルニア州にあるMP Materialsの鉱山で採掘・加工された後、テキサス州フォートワースにある20万平方フィート(約1万8580平方メートル)の新施設で金属や磁石に加工される。MPによると、リサイクルは両拠点で統合されるとのことだ。

この施設では、年間約50万台のEV用モーターに使用可能なネオジム合金と磁石を生産する予定だ。2023年に段階的に生産を開始する。

画像クレジット: MP Materials

今回の契約は、米国で唯一のアクティブでスケールの大きなレアアース生産拠点を所有・運営しているMP Materialsにとって注目すべきものだ。 かつては世界最大のレアアース生産拠点であったマウンテン・パス・サイトは、過去数十年の間にいくつかの手を経てきた。2008年にChevron(シェブロン)がMolycorp(モリコープ)という会社に売却した。Molycorpは鉱山の再稼働、さらには拡張を意図していたが、最終的には破産に追い込まれた。

MP Materialsは2017年7月にマウンテン・パスを買収した。MPによると、現場は稼働しておらず、わずか8人の従業員が手入れやメンテナンスをするために残されていたという。その後、MPは操業を再開し、米地質調査所によると、下の写真のマウンテン・パス・サイトは2020年までに世界の生産量の15%超に相当する3万8500トン以上のレアアースが濃縮されて含まれていた。

画像クレジット:MP Materials

これはまた、米国でのレアアース生産を支持する人々にとっても、画期的な出来事だ。レアアースは世界中に存在し、かつては米国でも採掘されていた。しかし、企業は2003年までにレアアースの採掘をやめ、代わりに中国から購入するようになった。電気モーターに使用されるネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)永久磁石の開発は米国で始まったが、現在の主な生産国は中国、ブラジル、インドだ。中国はレアアース焼結磁石の生産量の約90%を占めている。

GMとMP Materialsは、フォートワース工場を他の磁石メーカーへのNdFeB合金フレークの供給拠点として活用し、多様で強靭な米国の磁石サプライチェーンの構築に貢献すると共同発表した。MP Materialsによると、フォートワースの施設は、マウンテン・パスで年間に生産されると予想される6075トンの酸化ネオジムの10%未満を消費するという。

GMは10月にも、General Electric(ゼネラル・エレクトリック)のクリーンエネルギー部門であるGEリニューアブルズとの間で、レアアース素材の供給について協力し、磁石、銅、電気用スチールの供給を改善する方法を検討するという非拘束的な合意を発表した。その際、両社は、銅や、自動車のトラクションモーターや再生可能エネルギーの発電に使用されるリサイクル素材を一部使用した「eSteel」の新たなサプライチェーンを検討する意向を表明していた。

この取引は現在も進行中のようだ。GMの広報担当は「北米を中心としたEVサプライチェーンを強固で弾力的、かつ拡張可能なものにするためには、コラボレーションが重要な要素となります。我々は正式契約を完了させている最中です」と電子メールで述べた。

画像クレジット: General Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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