Google、AMPにストーリー・フォーマットを導入――モバイルページがビデオや画像でダイナミックに

GoogleのAMP( Accelerated Mobile Pages)プロジェクトはネーミングのとおりのモバイル・ページの高速化を目的としている。つまり当然のことながら、ニュースや料理レシピなどの大きいコンテンツのモバイル・デバイスへの読み込みとページ・レンダリングの高速化が主眼となる。この部分ではAMPは誰もが気に入ったわけではないにしろ、大きな成功を収めてきた。今回GoogleはAMPの適用範囲をさらに広げることを目指している。今日(米国時間2/13)、アムステルダムで開催中のAMP Conf 2018でGoogleはAMP Storyという新しいフォーマットを発表した。

ただし、AMP StoryのコンセプトはすでにInstagramやSnapchatでおなじみにのストーリーと大きく変わるものではない。この新しいフォーマットを利用すれば、サイトのパブリッシャーはモバイル向けに画像、ビデオ、アニメーションを多量に含んだページを提供してもユーザーが楽にナビゲーションできるようになる。私が先週、GoogleのAMPプロジェクトのプロダクト・マネージャーfをインタビューしたとき、Rudy Galfiは「モバイル・コンテンツを視覚的にリッチにすることを目的としたフォーマットだ。無数の見て楽しいストーリーを作れるよう大きくドアを開くものだと思う」と述べた。

新しいフォーマットを公開するにあたって GoogleはCNN、Conde Nast、Hearst、Mashable、Meredith、Mic、Vox Media、 Washington Postといった大手パブリッシャーをパートナーとしている。他のAMP同様、これはオープンソース・プロジェクトで、今後もパブリッシャーは自由に参加できる。

Googleでは将来AMPを利用したストーリーをを検索の上位に置く予定だが、現在はプレビュー版であり、デベロッパー、パブリッシャーに新しいフォーマットを周知して参加を促す段階だ。

実際まだパブリッシャーがAMPストーリーを作るツールは発表されていない。これはGoogleが当初AMPを発表したときもデベロッパーが主要なCMSのためのAMPツールを開発する必要があった。 「これまでAMPを利用してきたパブリッシャーならAMP StoryをCMSシステムに組み込むのはそれほど難しくない」とGalfiはインタビューで語った。

しかしツールが用意されてもパブリッシャーは簡単にAMPストーリーを作れるわけではない。つまり既存のページに画像やビデオを追加してお終いにするというわけにはいかない。パブリッシャーは利用しているCMAに合わせてAMPストーリーのフォーマットから開発する必要がある。

そこでデベロッパーにあまり大きな負担をかけずにAMPページ作成ツールが作れるかどうかが成功のカギとなる。Googleが将来もサポートを続けるかどうか定かでない新たなフォーマットをサポートするために時間を食われることを喜ばないデベロッパーも多いはずだ。

またGoogleが検索結果の表示ランキング決定にAMPの利用をシグナルの一つとしてどのように使うのか、どういう場合にパブリッシャーはその対象に含まれることになるのか、といった点も不透明だ。AMPストーリーは通常の記事とは別のジャンルとなるので、GoogleはAMP記事の投稿にあたってパブリッシャーに別のping方法を与えることになる可能性が強い。


現在AMPストーリーがどんなものか確かめたい場合は、 ここに行って、上に挙げたローンチ・パートナーをそれぞれ検索してみるのがよい。AMP ストーリーはVisual Stories fromという新しいセクションに表示される。

パブリッシャーが新しいフォーマットを全面的に採用するようになるかどうか確かではないが、サンプルのAMPストーリーには面白いものもあった。 Washington Postはこのフォーマットで冬季オリンピックに参加した北朝鮮をカバーしていた。Voxはいろいろな物事を説明するのに使っておりMashableはビデオ、サウンド、アニメーションを豊富に使って他のサイトより一歩先を行っているようだった。

〔日本版〕モバイルデバイスで リンクを開き、VOXと入力し検索結果画面を下にスクロールするとVisual Stories from VOXというセクションが現れる。モバイル版TechCrunch原文では「ここに行って」というリンクを含め、いくつかのパラグラフは表示されていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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