Twitterはプラットフォームにおける写真と動画のユーザー体験を向上させるため2週間前にMagic Ponyを買収し、機会学習の精度を高めようとしている。Googleも同じ道をたどる。本日、Androidと検索大手は、Moodstocksを買収したと発表した。Moodstocksはパリに拠点を置くスタートアップで、機械学習によるスマホの画像認識技術を開発し、「画像版Shazam」と呼ばれるAPIを開発者に提供している。
MoodstocksのAPIとSDKは近いうちに使用できなくなると、同社はホームページの声明で伝える。「私たちは、Goolgeで卓説した画像認識ツールを構築することに注力します。現在Moodstocksを有料で使用しているカスタマーに対しては、サブスクリション期間満了までは使用を続けられることを保証します」。
買収の詳細は開示されていない。またMoodstocksがこれまでいくら調達したかも定かではない。Crunchbaseにはベンチャーキャピタルから調達した資金は記されていないが、 2010年私たちが始めて同社のことについて書いた時、ヨーロッパの投資家から50万ドルをシードで調達したと伝えた。ちなみにTwitterは少し前に買収した、イギリスのMagic Ponyに対して1億5000万ドルを現金で支払っている。
Magic Ponyは創業から短く、広く買収対象となりうる段階で買収されたが、Moodstocksは2008年からモバイル端末での画像認識精度の向上を目指し取り組んできた。「私たちの夢は、カメラをスマートセンサーにすることで、周りのことを理解できるよう機械に目を与えることです」と同社は買収発表/さよなら/初めましての挨拶を兼ねた声明で伝える。
当初Moodstocksは自社開発のコンシューマーアプリを制作していたようだ。SNSのようなアプリだ。ユーザーは本などのメディアの写真を撮り、そのメディアに対して自分のコメントをつけることができる。他のユーザーの写真の個別の「フィンガープリント」を合致させる画像認識技術で、コメント同士をリンクさせるというものだ。
面白いアイディアだが、人気は出なかった。そこでMoodstocksはその技術を他の開発者に提供する方向にピボットした。少なくとも1つのアプリ「Moodstocks Scanner」は、開発者がアプリに機能を実装する前にSDKを試すツールに変わった。
Googleは、開発者がアプリに画像サービスを実装できるよう自社でもSDKをローンチするかどうか示していない。また、このテクノロジーをGoogleがコンシューマー向けサービスに活用するかも分からない。分かっていることは、MoodstocksのチームはGoogleのフランスにある研究開発運用拠点に参加することだ。MoodsotcksはDenis BruleとCedric Deltheilが共同創業したスタートアップだ。
短い声明で、Googleのフランスのセンターを率いるVincent Simonetは、MoodstocksはGoogleに高精度な画像検索をもたらすことを期待していると伝える。すでにGoogleが提供しているサービスを改良するという。「画像認識の面で、大きく前進することができました」と彼はフランス語で伝えている。「しかし、この分野ではまだまだ改良できる部分が多くあります」。
Moodstocksの取り組みが、引き続きスマホ向けに留まるのか、他のところで活用されるのかはわからない。Moodstockの機械学習アルゴリズムが活用できる箇所は多くある。例えば、Google検索で検索単語と一致、あるいは関連する画像を見つけるために「学習」することができる。Googleは、このテクノロジーを、例えばGoogleフォトなどの既存アプリに活用することもできるだろう。
あるいは、将来ローンチするプロダクトに採用するのかもしれない。ただ、スマホなら分かりやすいユースケースが目の前にある。小さな端末のタッチスクリーンだとテキスト入力はやや手間がかかる。また、ユーザーは自分で撮った品質の低い画像から類似したものを探そうとするだろう。両方の課題に対し、強力な画像認識ツールは便利だ(例えば、何かの写真を撮って、それを検索「キーワード」として使用するような場合だ)。
Googleはフランスで他にもスタートアップの買収を行っている。例えば、スマホのパフォーマンスを向上させるFlexyCoreなどだ。また、顔認識のJetPacやPittPattなど、複数の画像関連テクノロジーも買収している。他の大手テクノロジー企業もこのエリアでテクノロジーの買収を行っている。今年には、Amazonが静かに、AIやニューラルネットワークを活用する写真認識テクノロジーを開発するスタートアップOrbeusを買収している。
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(翻訳:Nozomi Okuma /Website)