Googleはファンの質問に対してセレブがビデオで回答するという機能をテスト中だ。回答は「セルフィー」式のビデオでGoogle検索の結果に含まれて表示される。Googleによるとこのテストはセレブをパートナーとしてモバイル・アプリ上で行われている。
「質問に答える」といってもセレブはもちろんリアルタイムで回答するわけではない。 Googleはファンが検索窓によく入力する質問を集め、それらに対するセレブの回答を予め録画している。こうした質問には「(テレビでドラムを披露した)ウィル・フェレルは本当にドラムが演奏できるのか?」、「(インド出身の女優)プリヤンカー・チョープラーは何か国語を話せるのか?」、「(ダイアナ・ロスの娘で女優の)トレイシー・エリス・ロスは歌えるのか?」などが含まれるという。参加している著名人はPriyanka Chopra、Will Ferrell、Tracee Ellis Ross、Gina Rodriguez、Kenan Thompson、Allison Williams、Nick Jonas、Mark Wahlberg、James Franco、Seth MacFarlane、Jonathan Yeo、Dominique Anselだという。
ユーザーがこうした質問を入力すると、通常の青字のリンクの検索結果のトップに本人のビデオ回答が表示される。
最初のビデオが再生された後、画面は横移動するカルーセル方式によるセレブのQ&Aシリーズを自動的に再生する。もちろんユーザーは好みのビデオクリップを自分で選択することもできる。
Googleは検索結果にセレブを起用したことが過去にもある。
2017年3月には、GoogleはPosts on Google〔Googleポスト〕を発表した。これはセレブやブランドがGoogleに対してツイッター風の投稿を行える仕組みで、2016年のアメリカ大統領選挙期間中にテストが開始されたものだった。ユーザーの投稿はGoogle検索に直接反映される。その今年に入って、Googleポストが利用できるユーザーが拡大され、美術館などの公共施設、スポーツのチームやリーグ、俳優その他映画関係者などが投稿できるようになった。その後、地域のビジネスも含まれた。
Googleポストでは、テキスト以外にも画像、ビデオ、GIFも利用できる。
Googleは検索に対して簡潔な記事による結果を得るためにツイートを引用するだけでなく、検索エンジンそのものにソーシャルな要素を加えた。
今回のセレブのビデオによるQ&A機能は、Googleポストの考え方をさらに一歩進めたものといっていいだろう。あまり目立たないGoogleポストの投稿をビデオクリップに置き換えることで、モバイル・デバイスでの再生に適合させ、Instagram的なソーシャルで親しみやすいものにしている。
歴史的にみてもGoogleの検索結果は当初、テキストベースのみだったが、やがて画像、ビデオへと拡張されてきた経緯がある。今回のセレブのビデオ投稿は人気のソーシャルメディアに対するGoogleの多少の羨望が感じられる。同社はこれまで独自のソーシャル・プラットフォームを構築することに成功していない。Google+はテクノロジー的には高度なものだったがやはり成功していない。グループチャットのSpacesもぱっとしない結果となっている。
Googleはソーシャルメディアを作ることではすべて失敗しているため、Google検索を少しでもソーシャル化しようと努力することに決めたようだ。
またユーザーがセレブのビデオを再生してくれればGoogleサイトの滞在時間が延長され、これは収入の増大につながる。
当面セレブが回答するビデオはAndroidのGoogleアプリの検索結果に表示される。GoogleによればiOSのアプリも数日中にはこの機能を備えるようになるという。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)