GoogleのCompute Engineが一般公開へ: インスタンス料金下げ, 16コアインスタンス登場, Dockerをサポート

Googleが今日(米国時間12/2)、2012年の夏にローンチしたクラウドコンピューティングプラットホームGoogle Compute Engineの一般公開を発表した。今日の一般公開とあわせて、1)新しいオペレーティングシステムのサポートと、2)標準インスタンスの10%値下げ、3)大量の計算力を必要とするアプリケーションのための16コアインスタンス、そして4)新しいロゴも発表された。

Googleには、検索エンジンをはじめとする各種自社サービスを動かすための巨大なインフラがあり、Compute Engineはその力を外部にも利用させるためのクラウドプラットホームである。これには同社の24/7のサポートが提供され、そのSLAでは99.95%のアップタイムが約束されている。

標準インスタンスの10%値下げに加えて、パーシステントディスクストレージの料金は60%値下げされ、それらのI/O課金も“あなたのブロックストレージデバイスが予定の範囲内の低料金に収まるように”値下げされる。同社の最大のパーシステントディスクボリュームは、そのI/Oの能力がこれまでの700%に向上した。

これまでCompute Engineは、DebianCentOSを、Googleが独自にカスタマイズしビルドしたカーネルによりサポートしていたが、今日からデベロッパは、SELinuxCoreOSをはじめ、任意のLinuxディストリビューションを使える。CoreOSはY Combinator出身のスタートアップが作った、Googleのクラウドインフラストラクチャの構造や振る舞いを真似るOSである。そのほか、SUSE、FreeBSD、Red Hat Enterprise Linuxなどの公式サポートも発表されている(Red Hat ELのサポートの現状は制限つきプレビューの段階だ)。

今回のアップデートの一貫として、好評な仮想アプリケーションコンテナDockerのサポートが提供される〔関連記事〕。Dockerがあると、デベロッパはアプリケーションのビルドやテストを自分のラップトップで行って、本格展開のためにはこのコンテナをサーバに載せるだけでよい。Dockerは先月より、オープンソースのプロジェクトとして提供されている。

Dockerは、CoreOSとの相性も良い。これは、Cloudkickを作ってその後Rackspaceに売ったAlex Polviが始めたプロジェクトで、CoreOSはDockerと一体的にパッケージされているから、アプリケーションをいろんなサービス間で移動するのも簡単だ。クラウドサービスを利用するデベロッパも、単一のベンダにロックインされずにすむのである。

Compute Engineが提供する最大のインスタンスタイプは、これまで8コアだったが、これからは三種類の16コアインスタンスタイプが提供される。Googleは、“大規模高密度LSIのシミュレーションや、大規模なNoSQLデータベースの運用などに利用していただきたい”、と言っている。

インスタンスタイプの多様性ではまだAmazonにはかなわないが、今日のローンチにより最大コアタイプでは並んだことになるので、そのほかの条件次第ではAmazonのEC2プラットホームからの移行も期待できるかもしれない。ただし、グラフィクス集約的なアプリケーションのためにAmazonがごく最近導入したGPUインスタンスは、まだGoogle Compute Engineにはない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。