Googleは米国時間5月7日、重い画像を含むウェブサイトをより高速に読み込むための機能をChromeに追加することを発表した。ただし現時点では、Chromeの実験的なバージョンであるChrome Canaryでのみ利用可能となっている。Chrome担当のプロダクトマネージャ、Tal Oppenheimer(タル・オッペンハイマー)氏が米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oカンファレンスで説明したところによれば、Googleはウェブサイトの画像読み込みに関するユーザー体験を改善する新たな方法を展開することになるという。「レイジーローディング」と呼ばれる手法を利用する。ウェブサイト上の画像を、実際に必要になったときに初めて読み込むというものだ。
「近年のウェブサイトは、これまでになかったほどビジュアルになっていて、高解像度の美しい画像を多く含んでいます」と、オッペンハイマー氏は述べている。「しかし、そうした画像をすべて一度に読み込もうとすると、ブラウザの速度は遅くなります。また、ユーザーが実際には目にすることのない不必要な画像を読み込むことで、リソースを無駄にすることになります」と、彼女は続けた。「そこで、たいていの場合、実際に必要になったときにだけ画像を読み込むようにする方が良いのです。それが『レイジーローディング』という手法です。しかし、デベロッパーが独自にJavaScriptを使って実装しようとすると、多大な労力がかかることになります。また、商用のサイトでは、望むようなレベルのユーザー体験が得にくくなる可能性もあります。そこで私たちは、非常にシンプルな方法で、優れた画像読み込み機能を実現したいと考えたのです」と、オッペンハイマー氏は付け加えた。
すでにChrome Canaryでは、「loading=”lazy”」という属性を持った画像タグに対して、新たな画像読み込み機能が有効になっている。あとはChromeが、ユーザーの接続速度などの要素も考慮して、実際に画像を読み込むタイミングなどを最適化してくれる。サイト上の個々の画像ファイルから、最初の2KBだけを読み込むことで、ページ上に適切なサイズのプレースホルダーを配置することも可能だ。
こうして、画像が重いウェブサイトについても、かなりスムーズな画像読み込みが可能なユーザー体験を実現できるというわけだ。よけいなコードを書く必要はいっさいない。
この機能は、通信速度が限られた環境でウェブブラウザーを使っている場合にこそ意味がある。そうした環境では、今日のメディアリッチなウェブサイトをブラウズすると、かなり遅く感じられるものだ。この機能を利用すれば、遅い環境にいるユーザーも、高速な接続接続が確保されたユーザーと同じように、ストレスの少ないアクセスが可能となるはずだ。
Googleは、この機能がChromeの実験的なバージョンから正式版に移行するのがいつになるかについては明らかにしなかった。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)