Googleが今日、‘Google版のHTTP’とも言えるSPDYのChromeブラウザにおけるサポートを2016年の前半までに終える、と発表した。HTTPの次のバージョンHTTP/2の規格策定作業がすで相当進んでいるので、Googleも独自のソフトウェアを捨ててそちらを採用することにした。ChromeのメインリリースがHTTP/2をサポートするのは数週間後、と言われる。
HTTP/2は今のHTTP 1.1に対し重要な改良をいくつも加えている。長年お役に立ってきた HTTP 1.1も、それが90年代後半に策定されてから今日までのあいだにWebが大きく変わり、とくに、複雑なページや、ストリーミングなど大型コンテンツの読み込みの遅さ、遅れが目立ってきた。今日のWebサイトはコンテンツが大型化しただけでなく、非常に複雑にもなっているので、わずか1ページの読み込みにサーバへのリクエストを数百回も行い、同時に数十もの接続を開き保持することすら、珍しくない。
SPDY(“スピーディ”と発音する)は、ストリームや優先度設定(prioritization)、プロトコルネゴシエーションといった新しい機能をHTTPに持ち込み、ブラウザが多くのファイルをサーバにリクエストする場合のやりとりの回数を減らした。またSPDYはHTTPのヘッダを圧縮してオーバヘッドを減らしているが、その機能はHTTP/2にもある。
HTTP/2はSPDYを踏み台にしてスタートし、最終形もGoogle色を多く残している。HTTP/2はこの数年間でSPDYに数々の変更を加えたが、それでもHTTP/2のプロトコルにはSPDYの考え方がそのまま生かされている。たとえばSPDYのストリームの概念も、その典型だ(HTTP/2のストリームは、多重化が加わるなど、SPDYに対しやや改良が加えられているが)。
HTTP/2はこれからほぼすべてのブラウザがサポートすることになるので、Googleとしても独自プロトコルに固執する理由はない。SPDYは、HTTP/2にその方向性を提供したが、現時点ではもはやGoogleのやるべきことは残っていない。将来、HTTP/2に対し不満が出てきたら、またGoogleの出番があるかもしれないけど。
GoogleのエンジニアChris BentzelとBence Békyは、次のように述べている: “オープンなスタンダードであるHTTP/2の策定過程に貢献できて幸甚である。その策定と実装の過程には業界の幅広い参加が得られたので、今後の広範な採用を期待したい。また弊社は、インターネットの基盤的なプロトコルの今後のさらなる進歩により、より高速でより安全なインターネットを多くの人びとに提供していきたい”。
同社はサーバのデベロッパに対して、同社の方向性に従うこと、これからはもっぱらHTTP/2のみを実装することを、推奨している。またTLSに関しても、そのHTTP/2バージョンでセキュアなhttps接続を支えるALPNへの準拠を、求めている。ブラウザと違ってGoogleのサーバは、まだ当分SPDYをサポートすると思われるが、しかし長期的にはやはりSPDYのサポートを完全に終了するだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))