今日(米国時間3/8)、GoogleはGoogle Cloud NextカンファレンスでSAPとの提携を発表した。これによりGoogle Cloud Platformに SAPのインメモリ・データベース、 HANAがやってくる。
いくつかの理由からこの提携には大きな意味がある。まず第一にGoogleはHANAが利用できることでクラウド・プラットフォームに有力エンタープライズを引き入れることができるだろう。また大企業で広く利用されているSAPとの提携はGoogleがクラウド事業を拡大する上でさまざなエンタープライズ・ビジネスの可能性を広げる。
SAPはERP〔Enterprise Resource Planning 統合基幹業務システム〕における世界的なリーダーの1社だ。SAPは各種の大企業においてテクノロジー、人事、財務などのシステムを運用するバックエンドを提供している。伝統的にこうしたシステムはオンプレミスで運用されてきたが、最近数年、クラウド上でサービスを提供する例が増えている。これはユーザー企業がこうした大規模システムのオンプレミス運用に伴うハード、ソフトのメンテナンスのわずらわしさを嫌うようになったためだ。
SAPは巨大企業なので独自のクラウド・サービスのためのデータセンターを持っているということは注意する必要がある。しかしGoogleとの提携はユーザーにメリットをもたらす新しいオプションを与える。またSAPがサードパーティーのクラウドとしてGoogle Cloud Platformを選んだことはGoogleにとって大きな成功だ。GoogleはIaaS( Infrastructure-as-a-Service)分野でAmazonのAWSはもちろん、Microsoft Azureからも大きく引き離されていた。
興味ある点は、この提携ではSAPが引き続きユーザーのクラウド・データの管理者の地位を保つということだ。つまり作動するのがGoogleのクラウド上であっても依然としてSAPがデータベースの運用に関して責任を持つ。このことは企業統治や法令遵守に関連する問題からクラウドに移行することをためらっていたユーザーにとってハードルを大きく引き下げる効果があるはずだ。いずれにせきわめて異例な取り決めだろう。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)