Google(グーグル)は、Google Cloudへの大きな賭けを続けている。確かに売上の成長は加速しているが、損失も増えている。米国時間2月2日、親会社Alphabetの決算報告で、Googleは初めてGoogle Cloud事業部の営業利益と損失を公表した。それによると、2020年12月31日に終わるGoogleの2020会計年度でGoogle Cloudは56億ドル(約5880億円)の損失を計上した。売上は130億ドル(約1兆3650億円)だった。
一般的にクラウドコンピューティングは儲かる事業と思われているため、この数字は不吉なものだと感じられるかもしれない。しかし、違う見方もある。損失は増加している。2018年は43億ドル(約4515億2000万円)、2019年が46億ドル(約4830億4000万円)だった。しかし売り上げも強力に伸びており2018年は58億ドル(約6090億5000万円)、2019年は89億だ(約9346億8000万円)。ここで何よりもわかるのは、Googleがクラウド事業に対して重点に投資し続けているということだ。
CEOのThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏が率いるGoogleのCloud部門には、クラウドインフラストラクチャとプラットフォームサービスのすべてが含まれており、G Suiteと呼ばれていたGoogle Workspaceもある。同社は、ここに大きく投資し続けている。そもそもデータセンター自体が大型の投資であり、Googleは2020年に4つの新たなリージョンを立ち上げ、他にも着手している。ここに同社のコアサービスはあり、さらにいくつもの買収も行っている。
今回の決算報告でGoogle / AlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は次のように述べている。「クラウドにおいて、顧客はまだ移行の初期段階にあることがわかります。私たちは大きな未来を目にしています。そしれ間違いなく、市場のダイナミクスと市場の状況における私たちのモメンタムは、私たちが投資の規模と投資のペースについて考えている枠組みになります。いうまでもなく、そこに長くいる者ほど利得も貢献も大きい。規模の経済も、働き始めます。しかし、私たちはお客様が関心を持つすべての製品に対して、世界中のお客様にサービスを提供できるようにするために、確実に先行投資を行っています」。
また、Google / AlphabetのCFOであるRuth Porat(ルース・ポラット)氏は次のように述べている。「主に検索とYouTubeが支えた第4四半期の強力なパフォーマンスにより、売り上げは569億ドル(約5兆9760億円)となりました。ここからわかるように、消費者も企業も年初の停滞から回復し活発になってきています。Google Cloudの2020年の売上は131億ドル(約1兆3758億円)で、大きな勢いが続いています。私たち、目の前の多様な成長機会のすべてに対して、価値を提供し続けるよう努めていきたいと考えています」。
決算報告でポラット氏は「長期の有意義な契約が多い」と、Workspaceが大企業で伸びていると述べている。
しかし現在のところ、前四半期に広告ビジネスが大きく回復したGoogleの中核ビジネスが、クラウド事業の拡大を支えている。
一方、シアトルでは本日、AWSが前四半期の127億4000万ドル(約1兆3378億円)の売上を報告し、35億6000万ドル(約3738億4000万円)の営業利益を計上した。2020年のAWSの営業利益は135億ドル(約1兆4177億円)になる。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:決算発表、Google、Google Cloud
画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images/Getty Images
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)