Google HomeがEchoとの違いを見せるべき時がきた

Google Homeにとって、昨年はキャッチアップの年だった。これは何も驚くべきことではない。Amazon EchoはGoogle Homeより2年も早く発売しているのだ。今週、Googleのスマートホームハブは1周年を迎え、I/Oでは新機能の追加が発表された。本当の意味でAmazon Echoの競合となるためだ。

見たところ、Googleは長期的な闘いを想定しているようだ。モバイルデバイスにGoogle Assistantを追加し、細かなアップグレードを重ねることで、GoogleのデバイスはAmazonのものよりも”鈍さ”がなくなった。Googleにはデータインフラストラクチャーとモバイルマーケットでのシェアがあったからこそ、これが可能になったのだ。しかし、消費者向けのマーケットでは――特に、競合がすでに独占的な地位を確立しているマーケットでは――、”細かなアップデート”だとか”堅牢性”というのは通用しにくい技ではある。もしGoogleが競合との差をつけたいのであれば、デバイスがもつ利点を大々的に見せつけなければならない。

テクノロジー業界において、2年の遅れというのは大きなロスである。競合プロダクトがそのカテゴリーの象徴として認識されているような状況では、それはなおさらだ。昨年にGoogleがHomeを発表した時、彼らが今後挑むことになる壁の大きさに気づいていたのは間違いない――しばらくの間メディアや消費者がこのデバイスのことを”Google Echo”と呼ぶことも想定していただろう。

Googleは昨年、その状況を打開するために大半の時間を費やしてきた。このプロダクトが発表されたとき、両プロダクトの間に存在する差は歴然としていた。サードパーティーのパートナーを持たないGoogle HomeとEchoとの差は明らかだったのだ。それに、EchoはAmazonに驚くほど大きな成功をもたらしていた。このカテゴリーに興味がある人々は、すでにEchoを所有している――それに、スマートホーム・ハブという製品が、例えばタブレットよりも頻繁なアップグレード・サイクルをもつとは考えにくい。

GoogleのプロダクトがAmazonに何らかの影響を与えたことは確かだが、今月はじめに発表された数字によれば、今年の音声コントロール製品分野におけるAmazonのシェアは70%ほどになると見られている。それに対し、Googleのシェアはその3分の1程度になるようだ。Amazonは今後、低価格版のEcho Dotをはじめとする様々な製品をプロダクトミックスに追加していく予定であり、Amazonの独壇場がこれからも続いていくことは容易に想像できる。

I/OでGoogleの幹部たちは、彼らがこれからもAmazonに続く2番手でいることは考えていないと話していた――でも、これ以外に何と言えるだろうか?同社はそこで、今後追加する予定の新機能などを発表してAmazonに追いつくためのプランを明らかにした。

その1つが、Google Homeを使った電話発信機能だ。これは、Amazonもずいぶん前に追加している機能ではある。しかし、Homeはユーザーごとの声の違いを認識できるため、例えば、単なる”お母さん”という言葉が”誰のお母さんを指しているのか”を理解することができる。また、AmazonではEchoかAlexaのアプリを搭載したデバイスにしか電話をかけることができないのに対し、Google Homeではあらゆる人に電話をかけることが可能だ。

この電話機能や新しい「プロアクティブ通知」などの機能によって、Googleはこのデバイスが実用に足るものであるということを示しはじめている。GoogleやAppleのようにモバイルデバイスを持たないAmazonとは違い、GoogleはHomeをAIアシスタントのバックドアチャネルとして機能させることで、ユーザーにより堅牢なプロダクトを提供しようとしていることは明らかだ。

この調子で行けば、今後数年間でGoogleがこの分野において大きなシェアを獲得できる可能性は高い――Appleが来月に開催されるWWDCでスマートホームハブを発表し、僕らの度肝を抜くようなことがなければだが。これまでのGoogleのプロダクトにも尻上がりにシェアを獲得してきたものは沢山あった。

しかし、このプロダクトが真の競争力をもつためには、Google Echoと呼ばれないように、本当の意味で新しい機能を追加していく必要があるだろう。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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