Google Street ViewのライバルMapilleryは、Amazonと協力して3億5000万枚の画像DBからテキストを読み込んでいる

スウェーデンのスタートアップMapillaryは、クラウドソーシングによるストリート映像を使うことで、Googleやその他の企業たちに世界の地図化で対抗することを狙う企業だ。そのMapillaryがこのたび、そのプラットホームの開発の中で興味深い一歩を踏み出した。同社は現在、Amazonと協力し、特にそのRekognition APIを使って、Mapillaryの3億5000万枚の画像データの中から、テキストを検出し読み込もうとしている。

新機能の最初のアプリケーションは、米国の大都市(まだどの都市かは発表されていない)で使えるもので、路上のパーキングサイン(路上駐車の条件を表す標識)から「読み取れる」情報を用いて、パーキングアプリを開発する予定だ。

 

「路上駐車はとても関心が高く、路上駐車情報はMapillaryを使う人たちがもっとも求めているデータの1つなのです」と語るのはスウェーデンのマルモに拠点を置くMapillaryの、CEO兼共同創業者であるJan Erik Solemだ。彼は、路上駐車アプリは最初のアプリケーションであり、他の都市にも採用されることも期待されるが、やがてMapillaryの画像の中から読み取れるテキストとのマッチングを行う他のアプリケーションが登場するだろうと語った。それによって特定の場所の正確な緯度と経度をピンポイントで指定することが可能になる。「路上駐車は現代の都市における最大の問題の1つですので、私たちは米国のパーキングサインの読み取りから始めました。とはいえテキスト認識は多くの異なるタイプのオブジェクトや画像に適用することが可能です、例えばビルの正面など」。

都市が路上駐車の状況をしっかりと把握していないというのは奇妙に思えるかもしれないが、実際にこれはよくあることなのだ。Solemによれば、多くの都市は路上駐車規制を表すアナログ地図を持つだけのことが一般的で、大部分の都市ではデジタル化されていない。そのことが意味することは、もし都市が新しいサービス(特に路上駐車料金もしくは路上駐車違反の罰金から収益を得るためのサービス)を構築しようとしたり、あるいはもっと沢山の路上駐車スペースが必要か否かを考慮しようとした時に、それを検討するためのデータセットを持っていないということだ。

Mapillaryは、路上駐車問題は米国内の合計で730億ドルのコストがかかっているという調査結果を引用した、おそらくそれは人びとが超過駐車の罰金として払うものだけでなく、駐車場所を探すのに浪費するガソリンなども含んでいる。しかしおそらく超過駐車を誰も気がつかないことによって失われる収益もあるだろう。

注目されるのは、MapillaryがそのRekognition APIの利用を、Amazonとの「コラボレーション」であると表現していることだ。私はこの表現の意味について尋ねたが、彼はこの件に関しては私とはあまり「コラボレーション」してくれなかった。

「Amazonが何をしているのか、何故そうするのかについてのコメントはできません」と彼は言う。「それを発表の一部に取り込むことができれば良かったのですが、今回は見送りになりました」。どうやら両社はここしばらく共同作業をしているようだが、それらは全てNDA(秘密保持契約)の下で行われているらしい。

Amazonは多くのことを地図の世界で行って来ている。しかしそれはサードパーティへのデータ提供か、あるいは自身のサービス向けの用途である。まず第一に、Amazonは強力な物流組織であり、そうである理由の一部はもちろん、マーケットプレイスで売買される商品を、集荷し配送配達するための最適な手段を発見する、インテリジェントな地域経路決定を行うことにある。

しかし、それは地図と場所がAmazonで使われる方法の一部に過ぎない。同社はHereの地図を使用しており、一時はその地図作成会社を買収することに関心があると噂されていた。一方、Amazonは、同社のデバイス向けに位置サービスを利用するアプリを開発したい開発者たちのために、Googleのものに似たマッピングAPIを開発した(その過程では他のマッピング関連特許と技術者の獲得も行われた)。

現時点では、それが主に意味することは、Fireタブレットと急増するEchoデバイスバリエーション向けのアプリを開発することだ。しかしAmazonはまた別の種類のハードウェアにも大いに注力している、例えばコネクテッドカーなどだ。

1月にはトヨタが、Alexaを統合するためにAmazonと協力していることを発表した。それとは別にAmazonは自動運転車のエリアの特許も取得し続けている。

言い換えれば、Google Mapsの実用的な代替物をストリートレベルの画像で提供するMapillaryのような会社に、明らかなチャンスがあると言うことだ。特に周囲の情報をインデックスして提供し、A地点からB地点までのもっとも効率の良い経路を算出するこうしたサービスで、Amazonの強力なパートナーとして働く可能性がある。

そしてこれは補足だが、他の人工知能プラットホーム同様に、Rekognitionもアプリケーションの中で使われるたびに学習を行う。AmazonはMapillaryとの協力を通して、路上の標識から、それは何を言っているのか、それが設置されているのはどこかといった、より詳細なデータを集めることになる。

Mapillary自身については、私自身もずっと興味深いスタートアップだと考えて来た。Solemはコンピュータビジョンの専門家で、以前経営していた顔認識スタートアップのPolar RoseをAppleに売却している。そして彼の現在のベンチャーはこれまでに2450万ドルを調達しているが、投資しているのはSequoiaAtomico、Navinfo、BMWとSamsungなどである。現在は潜在的な顧客たちとの関係を深めている最中だ。

そうした顧客の1つに、AmazonのマッピングプロバイダであるHereも含まれている。その他の企業はNDAのため公表されていない。彼らは一緒に、Mapillaryの画像をそのより広範なデータベースのために投入している最中だ。Solemによれば3億5000万枚の画像の80パーセントはWazeのように個人から投稿された物であると言う。「誰もが何らかの問題を解決したいと思っているか、あるいは世界の地図を修正したいと言う希望を持っているようです」と彼は言った。

テキスト認識とその読み込みは現在Mapillaryが取り組んでいる問題の1つだが、次の段階は、人びとがより多くの画像を、より自動的に取り込む支援を行うことになるだろう。「次の開発サイクルの私たちの製品は、人びとが対象をカバーし尽くす手助けをします」とSolemは語ったが、それ以上の詳細な説明は行わなかった。「私たちが開発しているのは、キャプチャタスクを展開するためのツールです」。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Ken Hawkins / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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TechCrunch Japan

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