ニューヨーク市のスタートアップ、Heroはありきたりの プラスティックの薬の整理容器をハイテク・ガジェットで一新させようと狙っている。
Heroのチームがデモしてくれたが、私が試したところでも、ビタミンその他のサプリの錠剤をガジェットに入れるのは簡単だった。ユーザーが毎日どの時間に何をどれだけ飲むかというような処方をガジェットに入力するとHeroは時間がくるとアラームを鳴らすと同時に処方どおりの種類と量の薬が出てくる。
共同ファウンダーのKut AkdoganとKal Vepuriは2人ともヘルスケア関連企業で働いた経験がある。Akdoganは大手のヘルスケアデバイスのメーカーに勤務したことがあり、世界的コンサルティング・グループのBain & Coに勤務し、栄養食品のスタートアップ、Almondを起業した。
「医薬品業界はユーザー体験に関する限りまだ石器時代にいる」とAkdoganは語った。
薬を処方どおりにきちんと飲んだかどうかを覚えているのは非常に難しい。指示どおりに薬を服用しなかったことは、なんと12万5000人もの死亡の原因となっている。アメリカのヘルスケアが被る損害額は1000億ドルから2890億ドルにも上るという。なるほど薬の飲み忘れを防ぐためのディスペンサーは市場に数多く出ている。しかしAkdoganはそうした製品は一般消費者のことをよく考えて作られていないと主張する。Heroガジェットはその点ユーザーフレンドリーであり、使い方も簡単だ。
Akdoganは「Heroを使うのはコーヒーメーカーを使うのと同じくらい簡単だ」と言ったが、私もそう思う。 比喩にコーヒー眼メーカーが出てきたのはAkdoganが毎朝コーヒーを飲むからだ。「毎朝コーヒーを飲もうとしてコーヒーマシンのボタンを押すと機械が音を立て始める。それで万事OKだとわかる。 医療関連機器となると、こういう自然な感覚をまったく欠いている。
そういうわけでHeroのピルケースはカラフルに色分けされている。また薬の錠剤やカプセルを出すときに機械は快い音を立てる。
また実用性、安全性の面から、Heroは錠剤を放出する前にかならずユーザーにそれでよいかどうかを尋ねる。 旅行から帰ってきたら床一面に錠剤が散らばっていたというような大惨事を避けるためだ。AkdoganによればHeroは同時に10種類の薬を保管し、正しく服用を促すことができるという。
またHeroには薬の飲み忘れを家族やヘルパーなどにスマートフォンを通じて伝える機能もある(AkdoganはHEROはHIPAA基準に準拠しており、プライバシーは適切に守られると強調した)。
Heroはもう一人の共同ファウンダー、Vepuriの会社、Brainchildが単独で資金を提供している。HEROは現在、399ドルで予約受付中で(市価は999ドルの予定)、夏の早い時期に出荷できるようにする計画だ。基本機能だけのアプリは無料だが、高度な機能を必要とする場合はプレミアム版を利用する必要がある。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)
画像:Hero