ITの巨人IBMは先ほど第2四半期決算を発表し、売上は202.4億ドル、1株当たり非GAAP利益は2.95ドルだった。アナリスト予測の売上200.3億ドル、非GAAP EPS 2.89ドルをいずれも上回った。
しかし、非GAAP利益28億ドルは、1年前から25%減少した(GAAP純利益は25億ドル、29%減)。なお、決算は利益を示しアナリスト予測を上回ったが、数値は減少を続けている。1年前、IBMの売上は208.1億ドル、EPSは3.84ドルだった。
投資家は今日の決算報告を喜んでいるようだ。時間外取引で、IBM株は約3.3%、3.65ドル上げて163.51ドルをつけた。
IBMはコグニティブ・ソリューションとクラウドプラットフォームのリーダーとしてその地位を確立し続けている。そのために当社は、従来のIT市場の枠を越えた新しいビジネスチャンスに挑戦している」とIBMのChairman兼President兼CEO、Ginni Romettyが声明文で語った。「第2四半期、当社の戦略的課題分野は2桁成長を見せ、アナリティクス、セキュリティー、クラウドビデオサービス、およびWatson Healthという、いずれもIBMクラウドを活用し、業界で注目されている革新的サービスがこれを支えている。また当社は最近飛躍的進歩を見せている量子コンピューティング、モノのインターネット、およびIBMクラウドのブロックチェーンにも引き続き投資していく」
IBMはIT業界で最大かつ最も象徴的な会社だが、同社のレガシービジネス ― 例えばサーバーハードウェア、Zシステムビジネス等 ― は縮小を続けており、今四半期、システム部門は23%以上減少した。これが同社をはじめ、他の巨大IT企業や小さなスタートアップが、ビジネスの新しい波にこれほど力を入れ、投資している一つの理由だ。
IBMの場合、その対象はあらゆるIT分野にわたり、ブロックチェーン、Watson部門による人工知能と機械学習、社内(例えばビデオやセキュリティー関連)) あるいは、IBMとの関係を拡大すると最近報じられたCiscoのような、外部との提携による様々なクラウドサービス等がある。
下の2つの表は最初が投資家向けプレゼンテーション、次が財務報告に使われたもので、こうした新しい分野は成長を続けているものの、他部門の減少を補うにはまだ足りていない。
Q2の明るい話題としては、クラウドサービスの成長が続いており、今期は30%上昇し最近12ヵ月の売上116億ドルはIBMの同四半期売上の17%を占めた。Watsonとアナリティクス、セキュリティー、およびソーシャル・モバイル技術の売上は合わせて12%伸び、同四半期に83億ドルの売上を生みだした。
IBMは他にもいくつかの部門で売上が減少している。
- コグニティブ・ソリューションの売上は47億ドル、3.5%アップ。同セグメントのクラウド売上は54%増。
- グローバスビジネスサービスの売上は43億ドル、2%減。
- ITサービス&クラウドプラットフォーム(インフラサービス、技術サポートサービス、統合ソフトウェアを含む)の売上は89億ドル、0.5%減。
- システム(システムハードウェア、オペレーティングシステム・ソフトウェアを含む)の売上は20億ドルで、23.2%の急落だった。
- グローバルファイナンシング(金融および中古機器販売を含む)の売上は4.24億ドル、11.3%減。
2016年に入ってからIBMはM&Aに非常に積極的だ。同社は過去12ヵ月間に会社の歴史上最高金額を買収に費した、とIBM CFOのMartin Schroeterは言った。同四半期の投資の大部分が、IBMの成長するコグニティブ・ソリーションビジネスを支えている。Truven HealthのデータはWatson Healthを助け、 Bluewolfと EZ Sourceは、API管理ツールとコンサルティングサービスでコグニティブ・ソリューションとクラウドサービスを支援するだろう。
決算会見中IBMは、近々Watsonをセキュリティーアプリケーションでもっと活用するつもりだと語った。これは同社が実施した他の戦略的買収とも一致している。IBMが今年2月に買収したResilient Systemsは、拡大するサイバーセキュリティーサービスの一環として、セキュリティー・インシデントレスポンス・サービスを提供する。
今後の四半期を占う上で興味深いのが、ヨーロッパ、中でも英国が会社に与える影響だ。今日(米国時間7/18)の決算では、通貨の影響は小さかったが、同社は英国を重要な海外市場の一つと捉えており、英ポンドの下落が今後の四半期に影響を及ぼすと予測している。HP、Dell等のIT企業は、通貨下落を補うために価格を改訂しており、果たしてIBMが後を追うかどうかが注目される。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)