ハーグで行われているCloud Foundry SummitでIBMは米国時間9月11日、Red HatのOpenShiftコンテナプラットホーム上のCloud Foundry Enterprise Environmentを披露した。
これまでは、オープンソースのPaaS(Platform-as-a-Service)であるCloud Foundryのエコシステムと、Red HatのKubernetesを軸とするOpenShiftは、互いにずっと競合と見なされていた。そしてどちらのツールも、アプリケーションの開発とデリバリを現代化したいと願うエンタープライズの顧客を奪い合ってきた。しかし最近では、いろんなものが変わった。技術面では、Cloud Foundryはアプリケーションデプロイメントのオプションとして、またアプリケーションのコンテナ化およびCloud Foundryそのものを動かす方法としてKubernetesを採用し始めた。
またビジネス面では、IBMがRed Hatを買収したため変化が起きた。IBMは長年、ファウンデーションのトップレベルのメンバーとしてCloud Foundryを支援し、Red Hatは独自のプラットホームを支えてきた。しかし買収が完了した今では、IBMがCloud FoundryをRed Hatのプラットホームに持ち込もうとしているのも不思議ではない。
現状でそれはまだ技術的実験にすぎないが、IBMはこれを同社が完全にサポートするプロジェクトに変えて、Cloud FoundryのユーザーにアプリケーションをOpenShiftにデプロイするオプションを与える。一方OpenShiftの顧客は、自分たちのデベロッパーにCloud Foundry体験を与えるかたちになると考えるのが妥当だろう。
本日のこの発表の前にCloud Foundry FoundationのCTOであるChip Childers(チップ・チルダース)氏は私にこう言った: 「これもまた、両者が良好に協働できることの証明だ。Cloud Foundryのコミュニティが持参するのはデベロッパー体験であり、一方IBMはその偉大なる商業化の履歴が物を言う」。
Cloud Foundryにはその初期ほどの賑やかさはないが、今でも依然として大企業で最も多く使われている開発プラットホームだ。Cloud Foundry Foundationが最近行ったユーザー調査によると、すでにそれを使っている企業は、さらに継続して、今後もっと多くの開発ワークをこのプラットホームへ移したい意向だ。そしてsource{d}のコード分析によると、プロジェクトは毎月5万コミットあまりというペースで継続している。
Cloud Foundry Foundationの理事長であるAbby Kearns(アビー・カーンズ)氏は「企業がデジタル化へと突き進み、デベロッパーがクラウドネイティブの環境でイノベーションを起こそうとしているときには、ある1つのことが極めて明快だ。それは、彼らがCloud Foundryに、未来を築くための立証済みでアジャイルで柔軟性に富みもちろん快速のプラットホームとして向き合うということだ。この調査では、Cloud Foundryがエンタープライズの全体にわたって提供するアンカーが、デベロッパーによる新興技術の構築とサポートと最大化を可能にしていることも、あらためて強調された」と語る。
なお今週のSummitでは、VMwareに買収されるPivotalがPivotal Application Service (PAS) on Kubernetesを、初期のCloud Foundry支援者であるSwisscomがそのCloud FoundryベースのApplication Cloudの大型アップデートを、それぞれローンチした。