IBMはインフラサービスを独立させハイブリッドクラウドに専念、EUで1万人をレイオフ

IBMが大幅な戦略変更を行っているいま、米国時間11月25日にBloombergは、同社がヨーロッパでおよそ1万人におよぶ人員削減をすると報じた。IBMは先月、2020年に同社インフラストラクチャサービス事業を独立させると発表したばかりだ。IBMはこのレイオフを認めないが、広報担当者の口調では、今後全面的にハイブリッドクラウド方式に集中することにより、大規模な構造改革が行われるようだ。

「弊社の人事は、顧客がオープンなハイブリッドクラウドプラットフォームとAIを採用しようとする際、それに対して最善のサポートを提供できることを念頭に決められる。弊社はまた、IBM社員が顧客のニーズに対して最善の対応できるよう教育訓練とスキル開発にも大きな投資を継続する」と広報担当者は記事へのコメントを求めた際に話した。

残念ながらこの言葉が意味するのは、いま必要とされているスキルを持たない者は新バージョンのIBMに合わない、ということだ。CEOのArvind Krishna(アルビンド・クリシュナ)氏は、2020年11月初めのCNBC Evolve SummitでJon Fortt(ジョン・フォート)氏のインタビューに応じて、環境の変化に言及している(未訳記事)。

「Red Hatの買収によって得られた技術基盤は、その上に、オープンソースをベースにしたハイブリッドクラウドの技術的プラットフォームを構築するものであり、そしてそれはまた、クライアントがこの旅路に出るときに選択を与えることがベースとなっている。買収の成功は、弊社の活力源であり、マネージドインフラストラクチャサービスを切り離すという次のさらに大きなステップに乗り出すことができる。残りの全社が、ハイブリッドクラウドと人工知能に全力で集中していく」。

Constellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によると、IBMのレイオフの話はいつも同じだ。新しいモデルに乗り換える。そしてその新しいビジョンに合わない職位を排除する。今回の記事もまったく同じだ。

「IBMはいま、同社の歴史の中で最も大きな変化を経験している。それは、サービスからソフトウェアへ、そしてIBM Quantumによる専用ハードウェアへの移行だ。それは社内に従来とはまったく異なるスキルミックスを必要とし、その反動がレイオフとして現れる。IBMは最近の5年ほど一貫して、それを秘かにやってきた」とミューラー氏はいう。

実際にその渦中にある人たちは大変だ。仕事を失っても良いタイミングなんかなかったにせよ、「いま」は最悪のタイミングだ。新型コロナウイルスがもたらした不況の最中に、ウイルスの第2波がヨーロッパを襲っている。特別に困難な時期だ。

過去5年間、本誌はIBMのレイオフを何度も報じてきた。5月にはレイオフが確認されたが、数は不明だった。2015年には、1万2000名のレイオフを本誌は報じた。

関連記事
IBMがレガシーインフラ事業をスピンアウト、クラウド事業に全面的に舵を切る
IBMはレイオフを認めたが、その詳細は明かさず
IBMが来年1万2000人のレイオフを計画中との報道

カテゴリー:ネットサービス
タグ:IBMレイオフ

画像クレジット:James Leynse / Getty Images

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。