従来それは半導体会社や通信、医薬品の巨人に使われる金額だった。本日(米国時間10/28)IBMは、エンタープライズ向けオープンソフトウェア会社のRed Hatを340億ドルで買収すると発表した。これはMicrosoftがLinkdInを買収した262億ドルを上回る最大のソフトウェア買収だ。ただし、IT分野最大の買収ではない。その称号は DellによるEMCストレージ事業670億ドルの買収に与えられている。
IBMがRed Hatを買収してハイブリッドクラウド企業を目指していることについての詳細は、 TechCrunch編集者のIngrid Lundenが書いているので参照されたい:
ではこのIBM-Red Hat案件(成立した場合)はこれまでの巨大買収と比べてどう位置づけられるだろうか?
IT買収トップ5
- 670億ドル——パソコンメーカーDellがEMCのデータストレージ事業を買収
- 370億ドル——半導体会社Avago Technologiesが半導体巨人Broadcomを買収および社名変更
- 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
- 314億ドル——日本の複合企業SoftBankが半導体企業ARM Holdingsを買収
- 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークのLinkedInを2016年に買収
ソフトウェア買収トップ5
- 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
- 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークLinkedInを2016年に買収
- 220億ドル——ソーシャルネットワークFacebookがメッセージングアプリWhatsAppを2014年に買収
- 135億ドル——セキュリティーソフトウェアメーカSymantecがストレージ管理ソフトウェアメーカーVeritasを2004年に買収(180億ドルをインフレ調整)
- 110億ドル——データベース会社Oracleが人事ソフトウェア会社PeopleSoftを2004年に買収(147億ドルをインフレ調整)
企業買収ベスト5
- 2020億ドル——英国通信会社Vodafoneがドイツ通信会社Mannesmannを2000年に買収(2960億ドルをインフレ調整)
- 1650億ドル——インターネットプロバイダーAOLがメディア複合企業Time Warnerを2000年に買収(2410億ドルをインフレ調整)
- 1118億ドル——医薬品巨人Pfizerが医薬品会社Warner Lambertを1999年に買収(1640億ドルをインフレ調整)
- 1300億ドル——通信会社Verizon CommunicationsがVodafoneおよびBell AtlanticのVerizon Wirelessを2013年に買収
- 1300億ドル——Dow Chemicalが化学会社DuPontを2015年に買収
このRed Hat買収はソフトウェアのスケーラビリティーが極端な富の集中化を可能にすることの証だ。従来の業界巨人たちが、石油、化学、完成商品の供給、流通を受け持つ物理リソース・プロバイダーらと富を分け合っていたのに対して、ソフトウェアは生産と流通にほとんど材料費がかからない。ソフトウェア巨人への価値の集中は、世界を変えるビジネスを作る大きな動機づけになると同時に、労働階級から資産を奪う危険を伴っている。Red Hatの成果を祝福するのは簡単だが、必然的に社会は、ソフトウェアが富を少数へと集中させることで加速される貧困とポピュリズム取り組まなくてはならない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )