Impalaは単一の標準APIでホテル業界全体をカバーしたい

ロンドンのImpala(インパラ)は、ホテルのデータとの対話をもっと容易にできるようにしたい。そこで同社は、ホテルのレガシーなシステムの上に、あらゆるものを現代的なREST APIで標準化する層を作っている。

そのImpalaがこのほど、シリーズAで1100万ドル(約11億8400万円)を調達した。投資家はStride.VC、Xavier Niel/Kima Ventures、DST GlobalのパートナーであるJerry Murdock(ジェリー・マーロック)氏、そしてこれまでの投資家たちだ。同社はこれまで、シードラウンドで175万ドルを調達している。

基本的にImpalaが望んでいるのは、Stripe(決済API)やTwilio(通信API)、Plaid(フィンテックAPI)などのようにシンプルであることだ。ほんの数行でデベロッパーはImpalaを利用でき、詳細に立ち入る必要はないものに。

ホテル業界はこれまでProperty Management Systems(PMS)というものを使って、部屋や部屋のタイプ、料金、税などなどを管理してきた。

Impalaの共同創業者でCEOのBen Stephenson(ベン・ステファンソン)氏葉「各ホテルはそういう古いシステムに固執しており、その上にオープンなAPIを自ら作る気などない」と語る。

そこでホテル業界でプロダクトを作っているデベロッパーは、現状では各社ばらばらに異なるホテルシステムに接続するために、大量の統合化作業を強いられる。そしてImpalaはそういう違いの大きいホテルシステムの上に標準的なAPIを被せて、プロダクトは一度だけ一つだけ作ればそれで終わりという状態にしたい。

例えば、いろんなホテルの空き室の数を知りたければ、どんなホテルに対しても同じAPIを呼び出して問い合わせできる。1つのホテルでも複数のホテルでも、管理は同じように容易になり、ホテルのシステムと対話するアプリやウェブサイトや内部的サービスの構築も1つのコードで実現できるようになる。

今度得た資金で同社は、そういう統一APIで対応できるホテルシステムをもっと増やしたいと考えている。今は8種類のシステムをサポートしているが、Impalaがホテル業界の普遍的な言語になるためには普遍的なサポートが鍵だ。

Impalaは、直接予約(ダイレクトブッキング)のAPIも作っている。現状では、ブッキングデータを手作業でBooking HoldingsやExpedia Groupのウェブサイト(Booking.com、Priceline、Agoda、Kayak、Expedia、Hotels.com、HomeAway、Trivagoなど)にアップロードしているホテルが多い。チャンネルマネージャーを使っているところもある。

チャンネル・マネージャーはホテルと、そういうホテル情報・予約サイトを仲立ちして、予約情報を1回だけ送ればすべてのサイトにアップロードしてくれる。「でも売り手側からすれば、新しいオンラインセラーを立ち上げたとすると、すべてのチャンネルマネージャーとコネクトしなければならないのだ」とステファンソン氏は言う。

同社の直接予約APIは、ExpediaやBooking.comと新たに競合しようとする者にとってハードルを低くする。また、ホテルの部屋を自分で売らなくてもいいという、新しいタイプの業種の参加も可能にするだろう。そしてたとえば、シティガイドやカンファレンスや音楽フェスティバルなどのWebサイトから直接、部屋を予約できるようになるかもしれない。

それらはBooking.comへの埋め込みではなく、ImpalaのAPIを利用してホテルを直接予約し、コミッション(手数料)を低く抑えられるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa