Instacartは米国時間3月27日から、食品を配達する個人ショッパーが配達で稼いだ金を早く使えるようになる新機能を提供する、と発表した。この新機能Instant Cashoutは支払いプラットフォームStripeとの提携のもとに構築され、ショッパーがアプリで賃金をデビットカードに送れる。
これまでショッパーは賃金支払いを受けるまでに1週間ほど待たなければならなかった。その代わりInstant Cashoutでは、ショッパーはすぐさま支払いをデビットカードに送ることを選択できる。
Instacartによると、Instant Cashoutのセットアップには5分もかからない。セットアップすれば、ショッパーは毎日24時間いつでも好きな時にこの機能を使えるようになる。
この機能は今日からマサチューセッツ州ボストンやオレゴン州ベンドなどを含むいくつかの選ばれた都市でスタートする。今年6月までには全Instacartショッパーが使えるようになる見込みだ。
ショッパーは、自分が住むエリアでこの機能が利用可能になれば電子メールで通知を受ける、とInstacartは話している。
この機能は、過去数年のInstacartとショッパーとの不安定な関係をリセットしようとしている最中に導入される。
先月、Instacartは議論を巻き起こしたチップポリシーへの変更を破棄した。その変更では、ショッパーへの賃金を相殺するのに顧客のチップを使っていた。いくつかのケースでは、利用客がチップは賃金とは別にボーナスとしてショッパーに払われると信じてチップを支払いに上乗せしていたが、実際にはショッパーは本来よりも少ない額しか受け取っていなかった。というのも、かなりのチップがInstacartがショッパーに保証した最低支払いに使われていたからだ。
ショッパーからの反発を受け(そして集団訴訟の脅威から)、InstacartのCEOであるApoorva Mehta氏はチップポリシーがミスガイドであることを認めて謝罪し、今後はショッパーへのチップを会社が取るのはやめると話した。Instacartはまた、会社がとったチップをさかのぼって補償した。そして最低支払額を上げた。
ショッパーへの支払いをめぐる問題にInstacartが直面したのは、これが初めてではなかった。
Instacartはショッパーを独立契約者と過って分類して業務にかかる費用を支払わなかったとして集団訴訟を起こされ、2017年に460万ドルを支払うことで決着した。その結果、Instacartは多くの顧客がチップのことだと考えていたアプリ内のサービス料を説明する部分を変更しなければならなかった。
その前には、ショッパーからの苦情を受け、Instacartはコミッションにチップがすべて行くというオプションを削除した。
支払いに素早くアクセスできるようになるこの方法をほとんどのショッパーが歓迎するだろうが、これは本当に画期的な機能というわけではない。事実、Instacartは他のギグエコノミー事業者に追いついただけにすぎない。例えば、UberやLyft、Postmates、DoorDashはすでに即座の支払いを提供している。
この機能が開発中であることは数カ月前から噂になっていたので、今日の発表は一部の人にとっては大きなサプライズではないだろう。しかし、支払いをめぐる問題が続くようであればInstacartを見切ろうと考えていたショッパーを引き止めるのには役立つかもしれない。
訂正:この記事はInstacartがこのニュースを発表しようと計画していた3月28日に掲載されるところを、エラーのために今日3月27日に掲載された。Instacartの許可を得て記事はそのまま掲載された。
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(翻訳:Mizoguchi)