Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Instagram(インスタグラム)は米国時間7月27日朝、若年層のアクセス拡大に向けて、同社のアプリを10代のオンラインユーザーにとってより安全な場所にするため、いくつかのアップデートを発表した。同社によると、ユーザーが16歳未満(EUを含む一部の地域では18歳未満)の場合、サインアップの際、デフォルトで非公開アカウントに設定される。

また、16歳未満の既存ユーザーがまだアカウントを非公開に切り替えていない場合は、非公開に設定するように促す。加えて同社は、他の10代のユーザーからブロックされたり報告されたりした大人からの迷惑なコンタクトを抑制することを目的とした新しいテクノロジーを導入するとともに、広告主が10代のユーザーにリーチする方法も変更する。

若年層のユーザーにとって最も注目すべき変更は、非公開アカウントへの移行だ。

これまで、ユーザーがInstagramの新規アカウントを登録する際には、公開アカウントか非公開アカウントのどちらかを選択するよう求められていた。しかし、Instagramによる調査の結果、若年層ユーザーの10人中8人が登録時に「非公開」を選択していたことが判明したため、今後は16歳未満のユーザーに対しては「非公開」をデフォルトにするという。

画像クレジット:Instagram

ただし、16歳未満のユーザーに「非公開」であり続けることを強制するものではない。登録時を含め、いつでも公開アカウントに切り替えることができる。既存の公開アカウントを持つユーザーには、非公開にすることのメリットや変更方法がアプリから通知されるが、Instagramは、非公開への変更を強制するものではないとしている。

2021年1月、ライバルプラットフォームであるTikTok(ティックトック)も18歳未満のユーザーの非公開設定をデフォルトとする更新を発表しており、Instagramの今回の変更は、その動きに追従するものだ。TikTokの場合は、13歳から15歳までのユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に変更しただけでなく、コメント、動画のダウンロード、デュエットやスティッチなどTikTokの他の機能を含め、10代のユーザーのアプリ利用方法に関連するコントロールも強化した。

Instagramは、10代のユーザーにデフォルトのアカウントタイプを提案するに留まり、その他の設定を制限するまでには至っていないが、未成年者が使用するアプリに大人が参加することで生じる問題に対処するための措置をとっている。

同社は、新しいテクノロジーによって、最近10代のユーザーからブロックされる、または迷惑行為が報告されるなど「不審な行動」を取るアカウントを特定するという。これは、Instagramが不審な行動を特定するために使用する数多くのシグナルの1つに過ぎないが、同社は、このシステムをいたずらに利用されたくないため、他のシグナルについては公表しないとしている。

そして「不審」と判断された場合、Instagramはそういった大人のアカウントが若年層のアカウントとやり取りできないように制限する。

まず、Instagramは、そういった不審な大人のアカウントの「発見」「リール」、および「おすすめ」機能に対して、若年層のアカウントを表示しないという措置をとった。また、たとえ大人が検索で若年層のアカウントを見つけても、そのアカウントをフォローすることはできない。そして、若年層のユーザーが他のユーザーの投稿に付けたコメントを見たり、若年層のユーザーの投稿に自分のコメントを残したりすることもできない。

(Instagramによると、10代のユーザーが親の目を逃れるために自分の親を報告したりブロックしたりしても、制限をかけるアルゴリズムは複数のシグナルを組み合わせて使用するため、そういった目論見は上手くいかないという)。

この新しい制限は、2021年初めにInstagramが導入した、10代のユーザーにフォローされていない大人がそのユーザーにコンタクトを取ることを制限するテクノロジーに基づいている。これにより、10代のユーザーは、家族や家族ぐるみの友人との交流を保ちつつ、知らない大人からの不要なコンタクトを制限することが可能になった。

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TikTokやYouTube(ユーチューブ)などでは、若いユーザーら(多くの場合、大人の男性から性的なからかい嫌がらせの対象となる少女たち)の動画に、不適切なコメントが残されることが多いが、問題のある大人を10代の若者のコンテンツから切り離すという今回のInstagramの措置は、他のソーシャルネットワークでの対策よりもさらに進んだものだ。YouTubeのコメント欄にはかつて小児性愛者のグループが集まっていたこともあり、YouTubeは未成年の子どもが登場する動画へのコメントを全面的に無効にした。

Instagramでは、コメント欄を全面的にブロックするのではなく、悪質なユーザーを特定し、未成年者が作成したコンテンツを見つけにくくすることで、悪質なユーザーを排除している。

今後数週間のうちに実施されるもう1つの大きな変更は、18歳未満(一部の国ではそれ以上)の若年層をターゲットとした広告の掲載を希望する広告主に影響がある。

画像クレジット:Instagram

10代のユーザーの興味、あるいは他のアプリやウェブサイトでの閲覧に基づく情報など、広告主は、これまで利用可能だったターゲティングオプションが利用できなくなり、代わりに、年齢、性別、位置情報に基づいたターゲティングのみが可能となる。これは、Instagram、Facebook(フェイスブック)、Messenger(メッセンジャー)で実施される。

同社によると、若年層は、インタレストベース広告のオプトアウトに関連する意思決定を適切に行えない可能性があるという、若年層支援団体からの提言を考慮し、今回の制限に至ったという。

しかし実際には、Facebookの10億ドル(約1100億円)規模のインタレストベース広告ネットワークは、規制当局競合他社からの圧力を受けており、同社は、事業の潜在的な変化が間近に迫っていることを想定して、広告以外にもeコマースなど、収益の多様化に取り組んできた。

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ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

例えば、Apple(アップル)は最近のiOSアップデートにおいて、Facebookがサードパーティ製アプリからデータを収集することを制限するために、ユーザーがデータトラッキングをオプトアウトできる機能を追加した。すると、ほとんどのユーザーがトラッキングに対して「拒否」を選択したという。一方、若年層支援団体などは、現行の児童オンラインプライバシー保護法などですでに保護されている13歳未満の子どもだけでなく、テック企業は18歳未満の子どもに対してもパーソナライズド広告をオフにすべきだと主張し、同業界に対する圧力を強めている。

その一方で、Instagramは、13歳未満の子どもたちにアプリを公開することを検討してきた。今回の一連の変更によって、若年層ユーザーの安全に配慮した上で事業を拡大していることを規制当局に示すことができるのではないか、と同社は期待している。

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この点についてInstagramは「ユースアドバイザー」グループを拡大し、Stiftung Digitale Chancen(シュティフトゥン・デジテイル・チャンセン)のJutta Croll(ジュッタ・クロール)氏、Sangath(サンガス)およびIt’s Okay To Talk(イッツ・オーケー・トゥ・トーク)Pattie Gonsalves(パティ・ゴンサルベス)氏、ParentZone UK(ペアレントゾーン・ユーケー)のVicki Shotbolt(ヴィッキー・ショットボルト)氏、AAKOMA Project(エイコマ・プロジェクト)のAlfiee M. Breland-Noble(アルフィー・エム・ブレランド・ノーブル)氏、ノースイースタン大学のRachel Rodgers(レイチェル・ロジャース)氏、コーネル大学のJanis Whitlock(ジャニス・ホイットロック)氏、Future of Privacy Forum(フューチャー・オブ・プライバシー・フォーラム)のAmelia Vance(アメリア・ヴァンス)氏などの専門家を新たに加えたと発表した。

また、Family Online Safety Institute(FOSI、ファミリー・オンライン・セーフティ研究所)、Digital Wellness Lab(デジタル・ウェルネス・ラボ)、MediaSmarts(メディアスマート)、Project Rockit(プロジェクト・ロックイット)、Cyberbullying Research Center(サイバーブリング・リサーチ・センター)などの団体も参加している。

同社はまた、年齢認証や親の同意の基準についても議員らと協力しており、今後数カ月のうちに詳細を発表する予定だ。Instagramは今回の発表に関連して、ユーザーの年齢を推定するAIテクノロジーを使用していると述べている。例えば、あるユーザーが別のユーザーに対して「誕生日おめでとう」や「15歳、おめでとう」と送ったメッセージをシグナルとして検出し、それによってユーザーの年齢を絞り込むというものだ。このテクノロジーは、今回発表された新たな制限を含め、一部の大人が若年層のアカウントにコンタクトすることを阻止するためにすでに使用されている。

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カテゴリー:ネットサービス
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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

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