InstagramがTikTok対抗のためBoomerangに新エフェクトを加える

TikTokはそのクリエイティブなエフェクトから、無数のミームフォーマットを生み出し、フィルタ加工されたビデオ投稿の王座を巡ってInstagramに挑戦している。Boomerang(ブーメラン)フィルターのリリースから5年近くが経って、Instagramの繰り返しビデオループ作成機能は、ようやく編集オプションを大幅に更新した。

世界中のユーザーは、いまやSlowMo(スローモーション)、Echo(ブラー)、およびDuo(高速リワインド)といった特殊効果をBoomerangに追加したり、長さをトリミングしたりできるようになった。これは、このモバイルで最も人気のあるビデオクリエーション作成ツールにとって、これまでで最大のアップグレードだ。

このエフェクトは、Instagramの面白さを保ち続けるために役立つだろう。何年も使われてきたBoomerangは、いまや多くのユーザーにとって、ストーリーの中で最初の1回をみてスキップしてしまうものになってしまっていた。なぜならそれはとても単調だからだ。新しいビジュアル効果は、人々の注意をさらに数秒間引きつけ、新しいフォーマットのコメディ作成を可能にするだろう。Instagramは、多くの特殊効果を備えて独自のミームフォーマットを生み出したTikTokと競合しようとしているため、これはとても重要だ。

本日から、Instagramのユーザーの方々は、新しいSloMo、Echo、DuoといったBoomerangモードを、Instagram上で共有できるようになります」とFacebookの広報担当者はTechCrunchに語った。「Instagramカメラは、自分を表現し、自分のやっていること、考えていること、感じていることを友人たちと簡単に共有する方法を提供します。Boomerangは最も愛されているカメラフォーマットの1つです。Boomerangを使用して、日常の瞬間を楽しくて予想できないものに変える、クリエイティブな方法を拡大できることを嬉しく思っています」。

新しいBoomerangツールを見つけるには、Instagramで右にスワイプしてストーリーコンポーザーを開き、シャッターセレクターの下で左にスワイプする。Boomerangを撮影した後、画面上部の無限大記号ボタンは、代替エフェクトとビデオトリマーを表示する。モバイル研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏 は、2019年にInstagramの中に新しいBoomerangフィルターとトリマーのプロトタイプを発見していた。

通常、Boomerangは1秒間のサイレントビデオをキャプチャし、それを順方向および逆方向に3回再生して、ビデオとして共有またはダウンロードできる6秒間のループを作成する。以下に紹介するのは、追加できる新しいエフェクトと、Instagramが声明で私に説明した方法だ。

  • SlowMo:Boomerangsの速度を半分にして、各方向に1秒ではなく2秒間再生するようにする。「細かいところがわかるように、Boomerangを遅くします」
  • Echo:モーションブラーエフェクトを追加して、動きのあるものの後ろに半透明の軌跡を表示することで。酔っ払ったりよろけているような効果をみせる。「二重視効果を生み出します」。
  • Duo:ガタガタ動くデジタル化された映像で、クリップを冒頭へと素早く巻き戻す。「Boomerangの速度を上げ下げし、テクスチャー効果を追加します」。
  • Trimming:iPhoneのカメラロールまたはInstagramフィードビデオコンポーザーと同様の操作で、Boomerangを切り取る。「Boomerangの開始時点と終了時点を編集し、長さを変更します」。

こうしたエフェクトは完全なオリジナルというわけではない。Snapchatは、2015年にBoomerangが初めてローンチされてから数日後に、スローモーションと早送りのビデオエフェクトを提供している。一方TikTokも、いくつかのモーションブラーフィルターとピクセル化されたトランジションを提供している。しかしこうしたエフェクトは、InstagramのようにBoomerangsの中だけに限定されているわけではなく、通常のビデオに適用可能であるため、エフェクトを使用してテイク間のカットを隠したり、人々の声で遊んだりできるクリエイティブな柔軟性がある。

TikTokは、これらのツールを用いて、多数の独創的なミームを獲得した。ユーザーは、Echo風の機能を使用して自分自身とハイタッチし、アクション満載の瞬間や大きな音をDuoスタイルのガタガタしたカットで強調し、無限クローンエフェクトで背後にドッペルゲンガーの軍隊を並べることができる。Instagramストーリーズは、その代わりに拡張現実フェイスフィルターとレイアウトなどの、より高機能なツールに焦点を合わせている。

TikTokスクリーンショット

うまくいけば、Instagramの新しい編集機能は、主要なストーリーとビデオ制作者に利用されるようになるだろう。ストーリーの冒頭が退屈だとユーザーはすぐにスキップしてしまうので、動画のトリミング機能は特に有用だろう。

Instagramはこれまで、ソーシャルビデオの世界で長年にわたって支配的な地位を占めてきた。しかし、Snapchatがついに再成長を始め、TikTokも世界的現象になりつつあるため、Instagramはその優位性を維持するためにもう一度戦わなければならない。そろそろ10歳を迎えるのにあたり、もしユーザーに魅力的なコンテンツを素早く作成する手段を与えられないならば、時代遅れのものとなるリスクがある。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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