2020年、InstagramはInstagram ShopやShopping in Reelsなど、独立したクリエイターの生計を助けるための機能をたくさん追加した。そして米国時間5月24日、InstagramはProfessional Dashboardに、ReelsとLiveの「Insights」をローンチして、企業やクリエイターに彼らのコンテンツのリーチに関する重要なデータを提供する。Reelsはこれらのツールによって、すでにユーザーに詳細な分析データを提供しているライバルのTikTokに追いつくことになる。InstagramとTikTokのこのような追いかけっこが続くのは、収入をこれらのプラットフォームの利用に依存しているインフルエンサーや小企業にとってうれしいことだ。
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それまでInstagramのクリエイターたちは、視聴数やいいねの数、Reel上のコメントなど一般的に入手可能なデータを見ることしかできなかった。今後は、コンテンツが獲得したアカウント数や、自分のReelsの保存数や共有数などにアクセスできる。さらにInstagramは、Liveの動画の視聴者数をカウントする「同時に見ている視聴者数のピーク時の数」もシェアする。アプリのAccount Insights(アカウント詳細情報)では、自分のコンテンツがどのような種類のアカウントにリーチしているのか、そしてどのようなコンテンツが最も多くのエンゲージメントを獲得しているのかを知ることができる。
ソーシャルコマースの上でビジネスをしている起業家やコンテンツクリエイターにとって、このような分析はあまり重要ではないかもしれないが、プラットフォームの利用は確かに簡単になる。Reelsのショッピング機能でアプリ内販売が簡単にできるようになったが、これまで潜在的な顧客に確実にリーチするために動画などをカスタマイズする際に参照するデータが、ほぼなかった。一方、TikTokの分析はかなり前から動画の平均視聴時間や、トラフィックのソース(どっから来たのか)タイプ、場所(国など)による視聴数の違いといったデータをクリエイターに提供している。口コミで広まるこの動画アプリは2021年5月初めに、ストリートウェアのHypeなど特定のブランドと協力してアプリ内販売をテストする、と発表している。これでInstagramとの競争は激化するだろうが、本機能の一般公開スケジュールは未定だ。そこで、InstagramのInsightsによって、これまでのアプリ内ショッピングと組み合わせることでコンテンツクリエイターは、目的とするオーディエンスにもっと到達しやすく、収益化もしやすくなるための、強力な戦略を作り出せるようになる。
ロサンゼルスでハンドメイドのジュエリー工房KIKAYを経営しているQuinn Jones(クイン・ジョーンズ)氏は「Insights for Reelsがないのはおかしい、と前から思っていました。それがないと暗闇で銃を撃つようなものです」という。彼のショップは9万以上のInstagramとTikTokを合わせてフォロワーがあるが、一般的にZ世代のクリエイターはソーシャルメディアを利用してオーディエンスを広げ、売上を増やしている。KIKAYが口コミ的に利用しているのはTikTokだが、ジョーンズ氏は、小企業がフォロワーを獲得する方法としてはInstagramの方が良いという。
「Insightsは今後確実に便利なツールになるでしょう。これまでは、自分の動画がどのような人たちにリーチしているのか、まったくわかりませんでした。しかしInsightsがあれば、フィードバックに基づいてコンテンツを改良することができます」とジョーンズ氏は語る。
インフルエンサーにとっても、ブランドと協力してスポンサーつきコンテンツを作ったりする際、これらの分析が役に立つ。
LGBTQ+のコンテンツクリエイターで、マイクロインフルエンサーでもあるCara Cochran(カラ・コクラン)氏は「Insights for Reelsを随分長く待っていました。それまで視聴数といいねの数とコメントしか見れませんでした」という。彼女によると、Instagramがインタフェイスのデザインを変更してからは、クリエイターに頼んでReelsの動画を作らせるブランドが増え始めていたそうだ。
「これから分析も確認できるため、ブランドもInstagramに静的コンテンツをポストするだけでなく、Reelsにどんどん動画をポストするようになるでしょう。そうなれば、彼らのプロダクトも新鮮に見えるようになり、静的な広告ではなくコマーシャルのような効果を発揮するでしょう」とコクラン氏はいう。
Instagramは米国時間5月24日からInsightsを展開する。また数カ月後には、一定の期間内のエンゲージメントを計測できるようになり、さらにデスクトップでもInsightsをサポートするという。
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)