Apple(アップル)が例年のWWDCを開催しているこの時期、InstagramとFacebookは2021年初となるCreator Weekを試験的に開催した。その宣伝によると、この3日間のイベントは意欲的なもので、新進のデジタルクリエーターを対象とし、午前9時45分のバーチャルDJ大会に始まり「アルゴリズムの神話を打破する」をテーマとするパネルディスカッションや「日頃から関心のある非営利団体のための募金集会」などがある。
初日にMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、クリエイターの新しい収益化方法を紹介する発表を行った。それによると、Instagramは数カ月後に、ネイティブのアフィリエイトツールのテストを開始する。これによりクリエイターは、チェックアウト時に製品を推奨したり、フォロワーと共有したり、あるいは彼らのポスト(投稿)から生じた売り上げに手数料を徴収したりすることができる。クリエイターがそうした投稿を行うときには、スポンサーつきコンテンツのラベルの場合同様に、、ユーザー名の下に「手数料込み」という表示がでる。
今日から早くも利用可能になるのは、クリエイターが自分のビジネス用でなく個人用のプロフィールにショップのリンクを置ける機能だ。年内には、米国の一部のクリエイターはBravado/UMGやFanjoy、Represent、SpringなどInstagramのマーチャンダイズパートナーと提携して、アプリ上で限定商品を販売できるようになる。
Instagramのライブ動画では、視聴者がクリエイターにBadge(バッジ)を送り、彼らに0.99ドル(約08円)から4.99ドル(約547円)までのチップを渡すことができる。Facebook Gamingには、Starsという似たような機能があり、そこではStar(星)1つが0.01ドル(約1.1円)だ。クリエイターは今週から、他のアカウントと一緒にライブをするなど、何らかのチャレンジを達成したらボーナスを稼げる。たとえば宣伝の画像でFacebookは、Starを5000稼いだクリエイターに、本来の50ドル(約5476円)にプラスして150ドル(約1万6429円)のボーナスを提供している。
Facebookのポストでザッカーバーグ氏は次のように述べている。「私たちのプラットフォームでより多くのクリエイターの生活が成り立つようにするために、有料のオンラインイベントやファンのサブスクリプション、バッジ、近く立ち上げる独自のニュースプロダクトなどを2023年まで無料にします。私たちの売上のシェアは、Appleなどの他社が採用している30%に満たない比率にします」。
このようなアップデートは、アフィリエイトマーケティングとアプリ内ショッピングの導入を目指すInstagramの最新の戦術となる。2020年デビューしたばかりのInstagram ShopとShopping in Reelsのデザイン変更も、その一環だ。
関連記事:TikTok対抗機能のInstagram Reelsでショッピングも可能に
「私たちの目標は、みなさんのようなクリエイターの生活が成り立つ最良のプラットフォームになることです。みなさんに世界と共有したいアイデアがあるとき、それを実際に作り、FacebookとInstagram上で簡単に発表できることが重要です。そしてもちろん、みなさんの作品でお金が得られることも重要です」とザッカーバーグ氏はCreator Weekで付け加えた。
こういうアフィリエイトやショップ機能の実験には、当分の間、Instagramがマージンをとらないため、クリエイターとして心惹かれるものがあるだろう。しかし、TikTokやYouTubeのようなプラットフォームには、eコマース以外の収益化方法がある。
2020年7月にTikTokは、総額2億ドル(約219億円)のTikTok Creator Fundを発表し、人気のある投稿者が自分の動画で稼げるようにした。その金額は明らかでないが、総視聴数やエンゲージ数などで決まるのだろう。2020年8月には、ユーチューバーからティクトッカーに転向したHank Green(ハンク・グリーン)氏が、1カ月のTikTokの視聴数2000万で約700ドル(約7万6649億円)稼げるだろう、という推定を述べた。視聴数1000(1000ビュー)に対して3.5セント(約4円)だ。
一方、TikTokに対抗するYouTube Shortsを立ち上げたYouTubeは、Shortsの上位クリエイターのために1億ドル(約109億円)のファンドを発表した。同社がコンテンツクリエイターに支払った額は、過去3年間で300億ドル(約3兆2847億円)だという。さらにSnapchatは、そのTikTok対抗馬Spotlightで、クリエイターに1日100万ドルか(約1億900万円)を支払っている。
フォロワーが何百万人もいないユーザーにとって、このようなクリエイターファンドは家賃の足しにもならない。しかしそれらが、eコマースや視聴者からのチップ以外の収入源であることは確かだ。今のところ、Instagramにはそれがない。
関連記事:TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instagram、収益化、クリエイター
画像クレジット:Instagram
[原文へ]
(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)