Iron Oxのロボット温室は農業の環境負荷を大幅に減らす

ベイエリアを拠点に自動化農業の開発を手がけるスタートアップ企業のIron Ox(アイアン・オックス)は先週、5300万ドル(約59億円)の資金調達を実施したことを発表した。Breakthrough Energy Venture(ブレークスルー・エナジー・ベンチャー)が主導した今回のシリーズCラウンドで、同社の資金総額は9800万ドル(約109億円)に達した。

Iron Oxは人口増加、気候変動、労働力不足など、さまざまな問題が山積する21世紀の農業に革命を起こそうとしている数多くの企業の1つだ。同社のソリューションは、大規模な屋内農園から、従来の農園でもプラグアンドプレイで運用できる農場ロボットまで、多岐にわたる。

このスタートアップは、そのアプローチを「クローズド・ループ・システム」と呼んでいる。それは実質的に、独自の収穫技術を活用したロボット温室だ。収穫量について同社は、従来の農業とほぼ同等と、突飛な主張はしていないものの、環境への負荷を大幅に軽減し、一般的な農業よりも季節の変化に左右されないモデルを目指しているという。

Iron Oxのシステムでは、従来の農業に比べて水の使用量を約90%削減することができる。また、この種のシステムでは、すべてのプロセスにデータが統合されているため、栽培した農産物に関する多くの情報を収集し、将来の収穫量の向上に役立てることもできる。

「世界的な投資家たちは、人類の最も重要な課題は気候変動を食い止めることだと知っています。そのためには、持続可能な作物を少しずつ増やしていくだけでは足りませんし、消費者に味や利便性、価値の面で妥協を求めることもできません」と、共同創業者兼CEOのBrandon Alexander(ブランドン・アレクサンダー)氏は、今回のニュースに関連したリリースで述べている。「私たちは、増加する人口を養うために必要な土地、水、エネルギーの量を最小限に抑える技術を適用しています。Iron Oxのチームは、農業をカーボンネガティブにするという長期的な使命を果たすまで、決して立ち止まりません」。

同社によれば、今回の資金調達は、製造規模の拡大、米国での事業拡大、研究開発の強化、従業員の増員に充てられるという。

画像クレジット:Iron Ox

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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