iSGインベストメントワークスに3人目のキャピタリスト、元CAVの佐藤真希子氏が参画

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

2015年10月にスタートしたばかりのベンチャーキャピタルがわずか3カ月で社名を変えると聞くのは珍しいケースだが、ポジティブなニュースだ。アイスタイル子会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)・iSG インベストメントワークスは1月19日、元サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)のキャピタリスト、佐藤真希子氏が参画。取締役 マネージング・ディレクターに就任することを発表した。またこれとあわせて商号を「iSGS インベストメントワークス」に変更することをあきらかにした。いずれも2月1日開催の臨時株主総会で決議する予定だ。

iSG インベストメントワークスは、昨年10月にアイスタイルキャピタルから社名を変更してスタートしている。それまで代表取締役社長を務めていたアイスタイル取締役 兼CFOの菅原敬氏が取締役に異動し、元コロプラの五嶋一人氏が代表取締役社長に就任している。社名のiSGは両氏の頭文字から取ったものだ。今回新たに佐藤氏が参画したことから、佐藤氏の頭文字「S」を付けて「iSGS」と社名を変更するのだという。

佐藤氏はサイバーエージェントの新卒1期生。同期はiemo代表取締役・DeNA執行役員の村田マリ氏などをはじめ、サイバーエージェント内外問わずIT業界で活躍する人物も多い。主に営業を担当した後にCAVへ出向。産休を挟みつつ、足かけ9年投資事業に携わり、2015年に同社を退職した。2012年上場のメディアフラッグ、2013年上場のフォトクリエイトをはじめ、LiB、ビザスク、トークノート、groovesなど多くの投資経験を持つ(ちなみに佐藤氏は元フォトクリエイトで現在スペースマーケットの代表を務める重松大輔氏と結婚している)。

「CAVでは最高の経験をさせてもらった」と振り返る佐藤氏。しかし、キャピタリスト10年目を迎えるにあたって、「今まで以上に自分の判断で自分が決めた人に入れる(投資する)、そして最後まで責任を持ってその人を見ていくということにチャレンジしたい」と思って独立を考えた。プライベートでは3人目の子どもを出産して復帰しており、「女性起業家の活躍が紹介されるように、女性VCのロールモデルになっていきたい。実は女性VCは現場で活躍し続けるよりミドル・バックオフィス業務に移ることが多い。もちろんそれも価値ある仕事だが、結局はダイバーシティ。フロントに立ち起業家と接し続け、色んな見方で事業を見ていかないと見えないこともある」(佐藤氏)と語る。

その後、独立してベンチャーキャピタルの組成、スタートアップのインキュベーション事業の立ち上げに向けて動いていたが、最終的に、退職間もなくから声が掛かっていたiSG インベストメントワークスへの参画を決めた。「ベンチャーキャピタルなのに社名に『ワークス』と入れているのは、『起業家と一緒に汗をかく』という意味がある。メンバー3人とも営業、ファイナンス、買収先の経営まで事業畑を長く続けて来た。私も投資先の営業から、リストラ、経営の再生と泥臭いところまでやってきている。そこに一緒にやって欲しいと声をかけてもらった。1人ではできることの限界があるが、チームで起業家をサポートしていきたい」(佐藤氏)。

同社は現在ファンドの組成中。スキームの詳細は公開されていないが、本業とのシナジーを求めるCVCではなく、独立性の非常に高いファンドになるという。また、投資対象は「インターネット+アルファ」「既存産業+インターネット」が中心。シードからレイターまでのステージのスタートアップに対して、数百万円から数千万円程度の投資を行う。すでに昨日紹介したウィンクルのほか、ヘルスケアスタートアップのサイマックスなどに出資している。また既存ファンドのセカンダリー投資をバルク案件を組成して買い受ける「バルクセール」や、ある企業の株式のVC分を全部、あるいは経営者の分も買い受ける「バイアウト投資」も行う予定。さらに、佐藤氏が参画したことで、スタートアップコミュニティの創造、大企業とスタートアップの連携なども進めて行くという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。