KDDIは本日、インターネット接続サービスを提供するビッグローブを買収したことを発表した。KDDIはビッグローブの全株式を総額約800億円で買収し、2017年1月を目処に完全子会社化する予定だ。
1986年に創業したビッグローブは、インターネットやモバイルの接続サービスを展開している。2016年9月末時点で、インターネット接続サービスには200万人以上、モバイル事業では約40万人のユーザーを保有しているという。
大手通信事業者KDDIは、auのケータイやスマートフォンで3858万契約があり、固定通信サービスも904万契約に上る。ビッグローブの子会社化で、それぞれの顧客基盤や事業ノウハウを生かした事業展開を実施する。また、KDDIが進める「au WALLET」や「au WALLET Market」などの決済サービスや物販事業も両社のシナジーを活かし、事業拡大を行う計画だという。
今回の買収は、通信事業者の自社サービスの土管化への危惧が深まっていることを示しているのかもしれない。4G回線が広まり、たいていの場所で安定した通信が可能になり、回線の品質という面では通信事業社は他社との差別化が難しくなっている。それに日本でもFacebookやHulu、Netflixといったインターネット経由で良質なサービスを提供するOTTサービスはすっかり市民権を得るようになった。通信事業者はこのような状況を打破するため、事業に付加価値を加えたり、土管を通るサービスやコンテンツを獲得したりすることを考えているようだ。
アメリカでも似たような通信事業者による企業買収が起きている。今年7月、大手通信事業者のVerizonがYahooの買収を発表した。VerizonによるYahoo買収も、Yahooのメディアと広告事業でVerizonの通信事業に活かすためだった。また、Verizonの競合となるアメリカの大手通信会社AT&Tも今年10月、854億ドルでCNNやWarner Brosなど大量のコンテンツを有するTime Warnerの買収を発表している。