すべての読者を同じ条件で獲得するわけではない。そう聞くと気分を害するかもしれないが、これは事実だ。
少なくともユーザーの獲得という観点では、確かにそうだ。新しい読者にリーチするためにパブリッシャーが広告キャンペーンを実施しても、自分たちのサイトを再訪しそうもない大多数の無作為な訪問者を呼び込んだだけに終わってしまうかもしれない。
マーケティングのスタートアップであるKeywee(キーウィー)の最高コマーシャル責任者のJared Lansky(ジャレド・ランスキー)氏は「パブリッシャーにとっては、コンテンツの訪問者数よりも、ロイヤルティの方が価値がある」と言う。
Googleの元CEOのEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が率いるInnovation Endeavorsとニューヨークタイムズが支援するKeyweeは、ロイヤルティスコアという新しい機能でこの問題を解決しようとしている。ランスキー氏は筆者に対し、スコアとはまさにその名前通りのもので、ある人が何回サイトに戻ってきたか、何ページ表示させたかに基づいて読者のロイヤルティを測定すると説明した。
結果としてこのスコアは、パブリッシャーがより良い決定をして成長につなげるのに役立つ。パブリッシャーは、Keyweeを介して実施したどのFacebookの広告キャンペーンがロイヤルティの高い読者を実際に呼び込み、どのキャンペーンは呼び込まなかったかを知ることができる。それに応じてキャンペーンを修正し、無作為の訪問者ではなくロイヤルティの高い読者をもっと引きつけられるように、オーディエンスの的を絞り記事を選んで取り上げる。
このスコアを、パブリッシャーがサイト訪問者とのやり取りに生かすこともできる。例えばサブスクリプションのビジネスを構築しようとしているパブリッシャーなら、ロイヤルティスコアの高い読者に対してのみ、サブスクリプションの割引や有料購読者専用コンテンツを提供することが考えられる。ランスキー氏は、スコアを計算するためのデータはKeyweeのピクセルとFacebookピクセルから取得し、そのほかのデータを収集する必要はないと補足した。
Kiplinger.comのデジタルオペレーション&広告ディレクターであるAndy Price(アンディ・プライス)氏は、発表の中で次のように述べている。「ロイヤルティスコアは、私たちのユーザー獲得キャンペーンにまったく新しい知見をもたらした。例を挙げれば、退職のプランニングに関するコンテンツのプロモーションは、日用品や食費を節約する投稿よりも多くの再訪者を集められることがわかっている」。
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(翻訳:Kaori Koyama)