LiDARのスタートアップOusterが44.5億円を調達、セールスと製品の多様化を進める

LiDARのスタートアップであるOuster(オースター)は、競合ひしめく市場でシェアを勝ち取ろうと、数年にわたり製品ラインの拡大と改良を続けてきた。今、Ousterは4200万ドル(約44億5000万円)を調達したことを発表。この新たな資金を製品開発とセールスの拡大に投入する予定だ。

早い話が、逆風の中で生き残り戦を続けてきたこのサンフランシスコのスタートアップには、進歩の証がいくつか見られるということだ。今回の4200万ドルのシリーズB投資には、従来からの支援者であるCox Automotive、Fontinalis Partners、Tao Capital Partnersはみな参加したものの、新しい投資家の参加はなく、金額も前回の6000万ドル(約63億5000万円)を下回った。Ousterもご多分に漏れず、新型コロナウイルスの影響により従業員を10%削減したことを認めている。

とはいえ、この新型コロナの渦中でラウンドをクローズし、売上げ拡大を継続させようとするOusterの努力は注目に値する。しかも、新型コロナに関連する政府のシャットダウン政策により、サンフランシスコの工場が一時的に閉鎖されている状態にも関わらずだ。事業はこれ以上のレイオフを必要としない程度に伸びており、すべての従業員と臨時作業員の給料も満額支給されていると同社は話している。Ousterは本日までに、1億4000万ドル(約148億2000万円)を調達した。

Ousterは、収益の具体的な数値は公表していないが、12カ月の収益は62%伸びており、第3四半期の売上げは前年比で209%伸びたとのことだ。そのビジネスモデルと幅広い製品ラインを考えれば、この数値にも納得がいく。

LiDARとは、レーザー光線を使って距離を測定し、自動車の周囲の3Dマップを非常に高い精度で生成する装置だ。LIDARは、自動運転車技術業界のほとんどの企業が、ロボットタクシーやその他の自動運転車両の安全な運用には必須のセンサーだと考えている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏や一部の企業は別かも知れない)。

しかし、Ousterの技術とビジネスのアプローチは、多くの競合他社とは違っている。

同社のレーザー発生器と光検知機は、集積回路を作るときの標準的な手法(詳しい人にはCMOSといったほうがわかりやすいだろう)によって2つのチップに印刷されている。それにより、個別のコンポーネントを上下に重ねる一般的な方法を使うことなく、目的のソリューションを実現できるという。このアプローチから作られるセンサーは比較的シンプルで、信頼性も高いとOusterは主張する。

「OusterのデジタルLiDARアーキテクチャーは、我々が製品を提供するすべての市場で顧客を勝ち取るという、根本的な優位性をもたらしてくれました。デジタルCMOSテクノロジーはLiDARの未来であり、OusterはデジタルLiDARを最初に発明し、製作し、特許を取り、商業展開した企業です。手頃な価格のこれらのセンサーの解像度階と信頼性を一度でも体験すれば、レガシーなアナログLiDARにはもう戻れなくなります」と、OusterのCEOであるAngus Pacala(アンガス・パカラ)氏は声明の中で述べている。

2020年1月、Ousterは第2世代のLIDAR製品ラインの発売を開始した。それぞれ128本のレーザービームを発する3モデルがあり、1つは都市環境や倉庫の中での自動走行など、さまざまな用途に対応できる。あとの2つは、計測範囲が120メートル、視野角45度の中距離モデルと、範囲が200メートル以上の高速自動運転用の長距離モデル。Ousterによれば、この3つのセンサーはいずれも出荷を開始しており、50種類の異なる設定が用意されているという。

同社のビジネスモデルも、他の多くの企業のものとは違っている。自動車メーカーやロボットタクシーの商品化を目指す企業をターゲットとはせず、より大きな網を投げて事業の多様化を図っている。このLiDARセンサーの販売先にはロボティクス、ドローン、マッピング、防衛、ビルセキュリティー、鉱業、農業などの企業も含まれる。1月に発売を開始した3つの128ビームの第2世代新型モデルの用途は広い。この第2世代は、64ビームの前モデルの発展形であり、解像度が改善されている。

その戦略は功を奏したようだ。Ousterは、2019年3月から顧客ベースを倍増させたと話している。同社によると、現在は15の市場で800の顧客を抱えているとのこと。そこにはKonecranes(コネクレーンズ)、Postmates(ポストメイツ)、Ike(アイク)、May Mobility(メイ・モビリティー)、Kodiak Robotics(コディアク・ロボティクス)、Coast Autonomous(コースト・オートノマス)、米軍、NASA、スタンフォード大学、MITも含まれる。idriverplus(アイドライバープラス)、WhaleAI(ホエールエーアイ)、Hongjing Drive(ホンジン・ドライブ)、qCraft(キュークラフト)といった中国の自動運転車企業への販売も、同社の成長を支えている。

こうした成長を遂げつつも、Ousterは規模の拡大のための資金を必要としている。LiDARセンサーのデザイン、製造、販売は大変な金がかかる仕事なのだ。Ousterは、グローバルなセールスと顧客サービスの能力を高めようとパリ、ハンブルグ、フランクフルト、香港、蘇州にオフィスを開設した。生産施設は2つある。2019年3月にオープンしたサンフランシスコの工場は、以前は新製品を発表する場として使われていたところだ。こちらの生産能力は低い。バリデーションを終えた製品の生産は、Ousterの契約製造業者である東南アジアのBenchmark(ベンチマーク)に渡されている。

現在、Benchmarkでは第2世代センサーを月間数万台生産していると、Ousterは話していた。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Ouster LiDAR 自動運転 資金調達

画像クレジット:Ouster

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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