Limeの新しいeバイクはスクーターにも使える交換可能なバッテリーを搭載

Lime(ライム)は、2021年3月に新しいハードウェアの導入計画を発表して以来、ついに第4世代目のeバイクを街中に送り出すという約束を果たした。今回の新しい自転車には、Limeの最新世代のeスクーターと交換可能なバッテリーが搭載される予定だ。

企業広報のシニアディレクターであるRussell Murphy(ラッセル・マーフィー)氏によると、このマイクロモビリティ事業者は水曜日(米国時間1月12日)にワシントンD.C.で250台の新型自転車を導入し、4月までに2500台のeバイクを徐々に置き換えていく計画だという。Limeは今後1年間、世界の各都市で旧世代と新モデルの入れ替えを行いながら導入を続けていく予定だ。

この動きは、同社が新型eバイクの開発と北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドのさらに25都市への展開に向けて導入した、5000万ドル(約57億5000万円)投資の一部である。

前世代のLime製eバイクはロンドン、シアトル、パリ、デンバー、そしてまもなくサウスカロライナ州チャールストンを含む世界50都市で導入される予定だ。同社は当初、2021年夏に第4世代モデルを発売することを目指していたが、サプライチェーンの問題により、昨秋の数回のパイロットを遅らせなければならなかったと、マーフィー氏はいう。

交換可能なバッテリーは、Limeの緑と白の新型バイクの最も注目すべき特徴だ。Limeの最新スクーター「Gen4」の外観ともマッチしたデザインだ。

「これは業界にとって飛躍の可能性を秘めています」と、マーフィー氏はTechCrunchに語った。「車種間でバッテリーを1つに統一すれば、より合理的でマルチな運用ができます」。

Limeは、バッテリーのアップグレードが、車両あたりのコストの改善につながると期待している。充電のために車両を持ち込む必要がなくなるため、共有型マイクロモビリティ事業の運営にともなう最も高いコストの1つになりがちな運用業務が減ることになるのだ。同時に、バッテリーを交換するだけで済むので、より多くの車両がより長く路上を走行することになり、利用者への信頼性が向上し、収益を上げる可能性も高くなるとマーフィー氏はいう。

「また、これまでバイクとスクーターの充電チームが分かれていたのが、1つのチームになり、すべての充電関連業務をこなせるようになります」と同氏はいう。

新しいeバイクは、ライダーが坂道をより簡単に登れるように改良されたモーター、スマートフォンを充電できる電話ホルダー、Gen4スクーターのものと同じ新しいハンドルバーディスプレイ、そして、モーターを動かすために少しペダルを踏む必要がない、よりスムーズにスタートできる自動2速トランスミッションも搭載される予定だ。

Limeがeバイクの規模拡大を続ける計画は、保有車両の大部分を一新し、より多くの都市に進出し、新たな技術を開発してさらなる都市からの提案要請を勝ち取るという、同社が掲げる目標に沿うものだ。同社は11月に、転換社債とタームローンによる5億2300万ドル(約602億円)の資金調達を完了したが、これは2022年株式公開を予定している同社にとって、最後の資金調達となる可能性がある。

Limeは株式公開に向けて準備を進める一方で、より効率的な運営を行い、ハードウェアを充実させることで、業界における支配力を強化しようとしており、今回のアップグレードしたeバイクの導入はそれを補強するものとなっている。一方、同社が手に入る限りの認可をかき集めようとする一方で、Ford(フォード)が所有する競合のSpin(スピン)は先週、公開認可市場から撤退するためのリストラの一環として、従業員の4分の1を解雇する計画を明らかにした。Spinは現在、米国の一部の市場、ドイツとポルトガルの全市場での事業を縮小しており、早ければ2月にもスペイン市場も閉鎖される可能性があるという。

画像クレジット:Lime

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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