未来のモバイルメッセージングは、サービスへと向かっているが、それは送金やショッピングといったデジタルサービスに限らない。世界で最も多く使われているチャットアプリの一つである日本のLINEが、オンデマンド・サービスに向かって動きだした。
試行はまずタイで行われる。タイはLINEの最大市場の一つであり、以前音楽やビデオのストリーミングサービスのテストもここで行われた。新しい “LINE MAN” アプリを使って、3000万人以上のユーザーが宅配便や食品・雑貨等の配達サービスを利用できる。今年の2月に本誌は、デジタル執事サービスがやってくる、という記事を書いたが、まさしくこれがそうだ。
LINE MANサービスを請負うのは、2000万ドル以上の資金を調達しているLalamoveという物流スタートアップで、オートバイで配達するスタッフは、グリーンのジャケットにLineのマンガチックな絵文字キャラクターをつけて走る。LINEによると、タイは同サービスの最初の市場だが、成功すれば世界の他の地域にも広げていくつもりだ。
LINEは、最新データによると2.18億人のアクティブユーザーを持ち、うち69%が、日本、タイ、台湾、およびインドネシアが拠点だ。メッセージング市場の成熟は、殆どの国で上位のアプリが大半のユーザーを抱えていることを意味しており、トップにいないアプリがユーザーベースを伸ばすことは極めて困難だ。LINEのアジア ― 同社がリソースを集中している地域 ― の他地域での成長見込みは厳しいが、上記4ヵ国のようにLINEが高い人気を持つ強力な市場では、LINE MANのようなサービスに大きな可能性がある。
LINEの競合には、FoodPandaを始めとする既存の宅配サービスに加えて、オンデマンド乗車サービスがある。Grabは最近インドネシアで配達サービスを開始したが、そこではGo-Jekというオンデマンドスタートアップが既に活動している。Uberは米国で非タクシー事業を展開しているが、アジアにはまだ進出していない ― ただし、同社はアジアの一部地域でオートバイタクシーを運行していることから、今後は変わるかもしれない。Uber Motoは、現在インド、タイ、およびインドネシアで営業しているが、将来アジアの他の地域にも広がる可能性は高い。
多事業展開に関して、実はLINEはUberに似たサービスを2015年から日本で運用しているが、海外展開については不明だ。
LINEは2年前に株式公開した。同社は、米国・日本の二元上場を2014年と2015年に中止したと報じられており、今年改めて取り組むとも噂されている。成長を示すことは、株式公開で最も重要な鍵であり、今回のサービス参入は、「メッセージアプリだけではない」と言う同社の取り組みの表れだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)