LinkedInがヒンディー語サポートを開始、インドの5億人にリーチ目指し

インドの人口13億人のうち、英語を話す人は20%にも満たない。しかし、世界最大のプロフェッショナル向けソーシャルネットワークであるLinkedIn(リンクトイン)は、これまで世界第2位のインターネット市場である同国で、このひと握りの人々のニーズにしか応えていなかった。しかしインド時間12月2日、Microsoft(マイクロソフト)が所有する同サービスは、その状況を変え始めていると発表した。

LinkedInは、同社のソーシャルネットワーク上でヒンディー語への対応を開始したと発表した。ヒンディー語は、インドでは5億人以上、世界では6億人以上が話す、あるいは理解する言語であり、同SNSでサポートされる最初のインド系言語となる。

25の言語に対応している同社によると、LinkedInウェブサイトとモバイルアプリで、ユーザーは自分のフィードやプロフィール、メッセージにヒンディー語でアクセスできるようになるとのこと。また、ユーザーはLinkedInのデスクトップおよびモバイルアプリを通じ、ヒンディー語でコンテンツを作成できるようになるという。

インドはいくつかのグローバルサービスにとって主要な市場だが、LinkedInはこの国に深く浸透することができずにいる。分析会社のSimilarWebによると、LinkedInが1カ月間に獲得する13億以上のアクセスのうち、インドが占める割合はわずか6%強だという。LinkedInによると、インドには8200万人以上のユーザーがおり、そのうち2000万人以上が過去3年間にサービスに参加している。LinkedInの世界的なユーザー数は8億人を超える。

一方で、LinkedInと同じ問題に取り組み始めているスタートアップもひと握り存在している。インドでの仕事探しを支援している創業2年目のスタートアップ「Apna」は、2カ月前にインドで最も若いユニコーンとなった。インドの複数の言語でアプリを提供しているこのスタートアップは、9月時点で毎月1800万件以上の就職面接を促進しており、最近行った調査で、インドのユーザーの57%が英語よりも現地語のインターフェースを好んで使うことがわかったとしている。

トラクション以外にも、LinkedInはインドでトップの役職に就く人材を維持するという課題にも直面している。過去4年間で、少なくとも3人の異なる人物がインドでのLinkedInトップの仕事を任されている。その連鎖は、現在Notion(ノーション)のCEOであるAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)が2018年にLinkedInインドのトップ職を辞任したことから始まった。

また、2日の発表は、Microsoftが世界最大のインターネット市場である中国でLinkedInを閉鎖し、同社の重要なソーシャルサービスをジョブボードに置き換えてから2ヶ月も経っていないタイミングでのことだ。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInのインド地域マネージャーであるAshutosh Gupta(アシュトシュ・グプタ)氏は投稿でこう述べている。「インドでは、LinkedInは、人々がつながり、学び、成長し、パンデミックやこの新しい仕事の世界で採用されることを支援するミッションクリティカルな存在です。ヒンディー語に対応したことで、より多くのメンバーや顧客が、コンテンツ、仕事、ネットワーキングを通じて、プラットフォームからより大きな価値を引き出し、自分が使いやすい言語で自己表現することができるようになりました」。

LinkedInは、今後数カ月の間に、ヒンディー語を話すプロフェッショナルが利用できる求人情報の幅を業種を問わず広げていくことに取り組むと述べている。他にも、今後数週間のうちにヒンディー語のパブリッシャーやクリエイターを増やし、プラットフォーム上でのヒンディー語によるエンゲージメントを高めることも検討している。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。