LinkedInがフリーランスのためのサービスマーケットプレイスをグローバルに展開

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、仕事に就いている人や仕事を探している人が、同じ分野の人とつながるためのプラットフォームだ。採用の観点では、正社員の候補者探しや求人広告で知られる。そのLinkedInが、フリーランスのためのジョブマーケットを開拓している。

この新機能では、短期間の仕事向けに誰かを雇いたい人は広告を出すことができる。熟練知識労働者を探せるFiverrやUpworkなどと競合することになる。

今回のフリーランス向けプラットフォームの立ち上げは、他の求職ツールに関するいくつかの重要なアップデートと同時に行われた。雇用市場や働き方の新しい流れに、LinkedInがいかに適応しようとしているかを示している。

新しく検索フィルターが設けられ、リモート、ハイブリッド、オンサイト(つまり正社員)のいずれで働けるのかが表示される。採用担当者からの連絡を受けられるよう「オープン・トゥ・ワーク」をオンにしている場合、そこに上記の情報が表示される。また、求人情報を検討する際、企業の予防接種要件を確認することができるようになった(企業がその詳細を表示している場合)。

Service Marketplace(サービスマーケットプレイス)は2021年2月、小規模なテストの段階で初めてリークされた。それ以来、米国でこのサービスのベータ版を静かに稼働させ、LinkedInが全世界で抱える約8億人のユーザー(米国時間10月26日の決算発表時点)の中から、すでに200万人のユーザーを獲得した。

10月27日からService Marketplaceは全世界で提供される。フリーランスのプロフィールを設定するには、自分のプロフィールページにアクセスし、上の方にあるボタンを押し、指示に従って設定を行い、自分が興味を持って取り組める仕事にフラグを立てる。

この新機能は、Microsoftの傘下に入ったLinkedInにとって興味深い転換点となる。LinkedInは前四半期に約2500万人の新規ユーザーを獲得した。

長い間LinkedInが構築してきたのは、同社が「エコノミックグラフ」と表現するものだ。人々が仕事上の関係でどのようにつながっているかをマッピングすることで、世界経済をより深く理解することができるという構想だ。

その意図はもちろん、同社のビジネスの商業的な側面、すなわち人材紹介ビジネスをより強固なものにすることにある。同社のプラットフォームは、リクルーターにプレミアム会員権を販売して潜在的な候補者に関する詳細なデータを入手できるようにしたり、求人広告を出したり、求職者が仕事を見つけられるようになっている。

このビジネスは着実に成長している。LinkedInは10月27日の決算説明会で、プラットフォーム上で確認された採用数が前年同期比で160%以上増加し、広告収入全体も61%増加したと発表した。また、採用担当者に幅広いトレーニングコンテンツをアップセルしているLinkedIn Learningは現在、1万5000社以上の法人顧客を抱えている。

だが、その過程で、LinkedInは市場の大きな部分を切り離してしまった。この10年間で、フルタイムの長期雇用から短期のフリーランスへと移行する人が急増したからだ。

彼らがLinkedInを利用して、ネットワークを広げたり、同じ分野の人々と連絡を取ったり、仕事を見つけたりすることを妨げるものは何もなかったが、これまでLinkedInには短期のフリーランスに関わる正式な方法がなく、特にそれを収益化できていなかった。

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Service Marketplaceは、他の人材紹介製品と同様、現在は料金を請求していないが、LinkedInが将来提供し得るサービスの基礎となる。

Service Marketplaceは、250の職種カテゴリーでスタートし、500種まで拡大する計画だと、プロダクトマネージャーのMatt Faustman(マット・ファウストマン)氏はインタビューで語った。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」と同氏はいう。これまでのところ、マーケットプレイスで引き合いが強いカテゴリーの1つとして、マーケティングが挙げられると付け加えた。

注:ファウストマン氏がLinkedInに入社したのは、前職のリーガルテック専門会社のスタートアップであるUpCounselがLinkedInに買収された時だった。前職での最初のプロジェクトは、短期的な仕事に必要な弁護士を探すマーケットプレイスを構築することだったが、それは自然に、より広範なService Marketplaceに取り組むことへと発展した。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」という言葉はピッタリかもしれない。

今のところ、仕事の料金を交渉したり、請求書を発行したりするツールは用意されていない。また、人材を探す側は、候補者との会話が深まるまで、料金について具体的な説明をする必要はない。

レビューに関していえば、クライアントは契約相手をレビューすることができるが、個人側はクライアントのレビューを残すことができない。

また、マーケットプレイスに自身を掲載している人は、自分から仕事を探すことはできない。誰かに見つけ出してもらうのを待つために存在するのであって、自らの仕事を探すためではない。

仕事を探しているクライアントは、LinkedInの大きなドロップダウン検索メニューを使って人材を探す。例えば、ブランドマーケティングのスペシャリストを探している場合、検索ウィンドウにそのフレーズを入力し始めると、LinkedInがオートコンプリートで「in Service Marketplace」と表示し、そのカテゴリーの候補者一覧を出す。

候補者の抽出には、クライアントであるあなたが、仕事や個人的なつながりで、各個人とどれだけ密接につながっているかが考慮される。

しかし繰り返しになるが、一例として、ブランドマーケティングの専門家の人は、包括的な案件リストに目を通すことはできない。これは意図的なものだとファウストマン氏はいう。この機能は今のところ、クライアントの体験のために開発されたものであり、クライアントにターゲットを絞った依頼をさせ、専門家に応募が殺到して選別に時間を取られることがないようにしようという考えだ。

ゆくゆくは、上記の点や、決済など現在用意されていない機能も再検討すると同氏は語る。

LinkedInが労働者を開拓し、彼らの信頼を得たいなら、その点が重要になる。フリーランスは、料金の透明性の低さに悩まされることが多く、結果的に低価格で搾取される危険性がある。ファウストマン氏は、この点が問題であることを認め、LinkedInのプロダクトチーム内でも議論になっていたと話す。

「価格設定については、今後対応していきますが、今のところは見合わせることにしました」と同氏は述べた。

もう1つの興味深い点は、LinkedInが他の種類の労働者をどのように市場に呼び込むのかということだ。つまり、第一線で働く人やその他のサービス業に従事する幅広い人々をどうカバーするのか。Service Marketplaceにそうした層を含める計画は手元にない、とファウストマン氏は語る。しかし「長期的には、LinkedInに存在するあらゆるカテゴリーに拡張する可能性があります」。

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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