Lucidの新型完全電動セダンは2021年中盤までに自宅への電気が供給可能に

Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)は米国時間8月19日、発売が予定されている完全電動セダンAir(エアー)には急速充電機能が搭載され、20分の充電で300マイル(約480km)走行でき、家庭用充電ユニットでは、車から家に電気を供給できるようになると発表した。

この数値を達成できたのは、リチウムイオンセル、バッテリーおよび熱管理システム、パワートレーン(駆動部分)の効率化を組み合わせた900Vの電力アーキテクチャーのお陰だとLucidは話している。ポルシェ・タイカンと将来発売予定のキアのEVは除き、ほとんどの電気自動車は400Vアーキテクチャーを採用している。

この急速充電には制約がある。ドライバーは、対応する直流急速充電器を探す必要があるのだが、今は数が少ないという点だ。だが充電器の能力は、EVオーナーの期待に大いに応えてくれる。この予測値がEPAの認証を得られた場合の話だが、Lucid Airは、500マイル(約800km)という驚異的な走行距離を実現する予定だ。この急速充電機能によって走行距離という長年つきまとってきた不安が取り除かれ、長距離ドライブも夢ではなくなる。

同社は充電に関連して、このほかにもいくつかの詳細も発表した。そのひとつは、AirがユニバーサルCCS(コンバインド充電システム)の標準コネクターに対応するということだ。そのため公共の充電器が利用できる。この車両の充電レートは最大300kWを超え、19.2kWの車載交流充電器は1時間で80マイル(約128km)の交流充電速度に対応できる。

さらにLucidは、VW Group(フォルクスワーゲン・グループ)の米国での充電ネットワークであるElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)との提携も発表した。Airのオーナーは3年間、Electrify Amercaの充電スタンドを無料で利用できる。このネットワークには、直流急速充電器も配備される。

Lucidはまた、家庭用充電機能もいくつか作ってきた。その中には、Qmert(キューメリット)と提携して、オンライン接続された同社の家庭用充電ステーションを組み込んだものがある。だが、最も興味深いのは、おそらく「車からすべての物へ」という充電機能をAirと家庭の充電ユニットに持たせたことだろう。つまり、自動車同士で双方向で充電しり、Airから家へ電力を送ることができるようになる。Lucidが特に力説していたのは、家への一時的な電力供給を可能にするという点だ。極めてピンポイントの事例だが、裕福なEVオーナーの購買層には人気となるに違いない。LucidがTechCrunchに話したところによれば、この機能は2021年中旬に利用可能になるという。

もうひとつLucidが話していたことに、古いバッテリーを蓄電池として再利用する計画もあった。最初のプロトタイプは、幅広い蓄電製品を開発しているLucidのシリコンバレー本社ですでに使われている。

画像クレジット:Lucid Motors

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。