自動運転車のための画期的なレーダー技術を開発するアリゾナのスタートアップLunewave(ルーンウェーブ)は、このシステムの商品化に向けた準備を整える中、700万ドル(約7億3000万円)の資金調達を行った。
今回の資金はProeza Ventures、Blue 9 Capital、Tsingyuan Ventures、Intact Venturesからの投資であると同社は話している。
この資金を使い、Lunewaveは一次サプライヤーと協力して、同社のレーダーセンサーの戦略的パートナーシップの確立と共同生産を継続すると、同社の最高責任者であり共同創設者であるJohn Xin(ジョン・シン)氏は話す。
3Dプリントで作られるルネベルグレンズは、広帯域幅、高利得、高容量により、あらゆる方向に複数の高品質なビームを生成できるという特徴がある。同社によれば、そのセンサー2基で今日使われているレーダーセンサー20基分をカバーできるという。
Lunewaveは、すでにOEM製造業者や配車サービス企業と、いくつもの開発前プロジェクトを済ませている。「製品の商品化のための正式契約によるパートナーシップ締結まで、あと一歩です」とシン氏。「第1四半期の終わりまでには、世界各地の一次サプライヤーとの戦略的パートナーシップを発表できる予定です」。
センサーを支える大きな柱はカメラ、LiDAR、レーダーだ。その中でもレーダーは、厳しい気象条件でもうまく機能できる唯一のものだとシン氏は考えている。「近ごろ業界内では、それが哲学的な議論に発展しつつあります」とシン氏。「しかし私たちは、センサーフュージョンを信じています。安全性が何よりです。私たちの仕事は、レーダーというソリューションを業者選定の候補にすることです」。
シン氏は、今回調達した資金は、同社の製品開発チームとセールスチームの人員強化と、製品の洗練のために使われると話している。現在、同社の製品開発には2つルートがある。1つは単純に「一目散」に進めるもの。もう1つは、自動運転レベル3、4、5を目指したものだ。
同社はまた、業務用車両市場に食い込みたいとも考えている。そこが、Lunewaveに本物の引き合いが来る場所だと、シン氏は見ている。
「先進運転支援システムと自動運転システムは、これからも車両への導入が続きます。レーダーがこの2つのシステムの中核的コンポーネントになることが、力強い成長につながると私たちは信じています」とPotenza Venturesの業務執行取締役Rodolfo Elias Dieck(ロドルフォ・エリアス・ディーク)氏は話す。
同社は、水平面で180度の視野と、今日使われているシステムの6倍の解像度で車の周囲の物体を検知(遠距離でも悪天候でも)できる技術を誇っている。
今回の投資の一環として、BMWの元取締役Peter Schwarzenbacher(ピーター・シュワルツェンバッハ)氏とDelphi(デルファイ)の元幹部であるJames Zizelman(ジェームズ・ジゼルマン)氏がLunawaveの取締役会に加わることになった。ジゼルマン氏は現在Stoneridge Control Devices(ストーンリッジ・コントロール・デバイセズ)の社長を務めており、それ以前は、Aptive(アプティブ)のエンジニアリング副社長、Delphi Automotive(デルファイ・オートモティブ)の幹部を務めていた。
「Lunewaveが市場に持ち込もうとしている技術は、究極の価値提案をもたらします」とジゼルマン氏はいう。「そのイノベーションは、視野、解像度、その他の特性に真に秀でた技術的能力のみならず、複数のレーダーユニットを、より高性能で費用対効果の高い1つのLunewaveデバイスに置き換えてしまう機会をも提供します」。
カテゴリー:モビリティ
タグ:Lunewave、自動運転、資金調達
画像クレジット:J. Kyle Keener / The Fosgard Group
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(翻訳:金井哲夫)