今日(米国時間5/2)、ニューヨークで開催されたイベントで、Microsoftは教育マーケットを取り戻すための大きな発表を行った。 Chromebookに負けつづけきたMicrosoftは、これに対抗すべく、肥大化した機能を思い切って削った軽量のOS、Windows 10 Sを発表した。これは学校現場での利用に焦点を絞ったプロダクトだ。
Microsoftは名指しはしなかったものの、新しく発表されたブラウザ専用OSがChromebookを念頭に置いて開発されたことは間違いない。Microsoftは経済性を武器に世界の教育マーケットで大きなシェアを持っている。しかしアメリカ市場ではこのところChromebookが着実にシェアを伸ばしていた。
複数ユーザーがそれぞれログインできることがChromebookの重要なセールスポイントだ。なんといっても教育用ノートパソコンは大勢のユーザーが使うことになる。公立学校の情報システム担当はこの問題を処理するために頭を悩ましてきた。そこでWindows 10 Sはこの機能を備えることとなった。Microsoftはログイン・アプリを追加し、システム担当が簡単に複数ログイン問題を処理できるようにしている。
ログイン情報はUSBに保存される。システムにUSBを接続すると30秒程度でログインが完了する。何百台ものパソコンのログインを処理しなければならない場合、わずかな時間の節約も大きな影響を与える。
もう一つ重要なのは、Windows Storeだ。このストアからのダウンロードには教師の承認が必要だ。また教師はインストールされたアプリについてもカメラなど多数の機能をコントロールできる。
Windows 10 Sの登場は今年1月に教育マーケットに注力するという発表の際に予告されていた。Windows 10 S対応ハードウェアはAcer、Asus、HP、Dell、東芝その他のサードパーティー製で189ドルから供給される。興味ある点はこうしたハードウェアは発表されたWindows 10 S専用ではない点だ。 学校は独自に10 Sをアップグレードすることができる。そういう次第で、Microsoftは学校に対してOSのアップグレードとOffice 365の利用を1年間無料で約束している。
Windows 10 SはあくまでWindowsの軽量版であり、Chromeの目新しさを欠いているのは事実だ。 しかしMicrosoftはゼロからスタートするのではなく、教育市場における現行の強みを活用することを考えたようだ。【略】
Chromebookはアメリカ以外の市場ではまだ大きな存在とはなっていない。世界的に教育市場で大きな存在であるMicrosoftにはWindows 10 Sを成功させる可能性が十分ある。また教育市場を通じて将来のパソコン・ユーザーたちに強い印象を与え、Microsoft製品の選択に導こうという意図もあるかもしれない。
Windows 10 Sは、アメリカにおける新学年の開始に間に合うよう、この夏に出荷される予定だ。
〔日本版〕イベントの冒頭でサティア・ナデラCEOが登場、インドで祖父が教育を受けられたことが父に教育を受けさせ、結局ナデラ自身が大学で学ぶことを可能にしたと語っている。祖父には兄がいたが教育を受けられなかったために建設労働者として終わったという。Windows 10 Sの紹介は17:20付近から。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)