Microsoftが新しいIoTサービスのために独自のLinuxカーネルを作った

今日(米国時間4/16)サンフランシスコで行われた小規模なプレスイベントでMicrosoft は、マイコンを使用するデバイスを対象とする、安全なエンドツーエンドIoTプロダクトのローンチを発表した。それらは、小型で消費電力の少ないマイコン(micro control unit, MCU)を使って最小限のコントロールやネットへの接続を行うデバイスだ。そのようなデバイスは、玩具や家庭用品、産業向けアプリケーションなど、さまざまなところで使われているが、頻繁なアップデートは行われず、セキュリティに不安のあるものが多い。

今回のAzure Sphereと呼ばれるプロダクトは、機能性能等が一定の基準を満たす一連の証明済みのMCUsを対象とする。そしてMicrosoftの法務部門のトップBrad Smithが今日の発表で強調しているのは、チップに対するAzure Sphereの認定ライセンスを無料にして、そのエコシステムの立ち上げに勢いをつける、という点だ。

アップデートや遠隔測定が困難なデバイスはセキュリティも困難だから、まずそれがインターネット接続機能を内蔵していることが重要だ。そしてその接続機能により、Azure Sphereのクラウド上のセキュリティサービスにもアクセスする。

ということは、それらのデバイスではWindowsが動くのだろうか? いや、違う。Microsoftはこのプロダクトで初めて、独自のLinuxカーネルとディストリビューションを立ち上げる。そのAzure Sphere OSと呼ばれるオペレーティングシステムは、今日のMCUsの多くが使っているリアルタイムオペレーティングシステムの、Microsoft独自のアップデートだ。

Windowsのエンタープライズとセキュリティのためのパートナー担当部長Rob Leffertsは、今日の記者発表でこう述べた: “Azure SphereでMicrosoftはまったく新しい種類のIoTデバイス、すなわちMCUに対応する。Windows IoTはMCUの少なくとも100倍のパワーのあるマイクロプロセッサーユニット(microprocessor units, MPUs)〔通常のCPU〕の上で動くが、Azure Sphere IoT OSに使われているMicrosoftがセキュリティを強化したLinuxカーネルでは、OSSのライセンスのもとにチップレベルのパートナーたちが迅速に新しいイノベーションを実現できる”。

そしてそれらのパートナーたちも、オープンソースのリリースを自分たちの製品に組み込めるので、とても気が楽である。

このプロジェクトで最初にスタートを切るのが。MediaTekの一連のMCU新製品群だ。これらは、低電力消費シングルコアのARM-A7システムで、スピードは500MHz、Wi-Fi接続機能と、そのほかいくつかのI/Oオプションを備える。

オープンなエコシステム、という点では、Smithによると、それらのデバイスはAWSやAlibaba Cloudなど、そのほかのどんなクラウドの上で動くサービスからも使用できる。

実はAmazonのAWSも昨年のre:Inventデベロッパーカンファレンスで類似のプロジェクトを発表している。デバイスが特定のクラウドに縛られず、しかしクラウドサービスと組み合わさってこそ真価を発揮するのだから、これら大手のクラウドプロバイダーたちがMCUsに関心を寄せるのも当然だ。たとえば新しいデバイスの認証や、オペレーティングシステムのアップデート、それらデバイス上で動くソフトウェアの管理、などでAzure以外のクラウドが利用されることを、彼らは期待するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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